2013年度から5年間の計画で始まり約3億円が投じられたJ−HARPが2015年度で中止となりました.
研究対象者に対して,介入自治体(介入群)では,受療行動促進モデルによる保健指導を行ない,対照自治体(対照群)では、一般的な保健指導を行うデザインで始まりました.
ところが,①本戦略研究は家庭訪問を中心とした保健指導介入の効果検証であったが家庭訪問を含む対面保健指導の実施率が80%を超える自治体もあれば20%に満たない自治体もあり自治体における保健指導の実施状況にばらつきがあった,②研究データ管理体制についてデータ提出状況の把握及び提出されたデータの疑義照会が適切な時期に行われておらずデータ収集に遅れが生じていた,③戦略研究の円滑な実施を支援するため外部有識者からなる運営委員会の設置が当該研究班に求められていたが当初予定より設置が遅れ運営委員会にて保健指導の実施状況について確認され上記の状況が明らかになり信頼性のあるデータが収集できていないことや地方自治体の保健指導の実施率や実施形態について今後改善できる可能性は低いことから,中止となりました.
このように研究データ管理体制に問題があった以上,研究の信頼性に影響しますので,中止はやむなしと思います.
そもそも対面保健指導と脳卒中や心不全,糖尿病などによる死亡や入院の減少tpの関連を証明するのは難しいのではないか,と思います.
なぜなら,脳卒中や心不全,糖尿病などによる死亡や入院に至る人は,健診を受ける人より受けない人に多く,ハイリスクとされて受診する人より受診しない人に多く,対面保健指導を受けて受診する人より受診しない人に多いとすれば,対面保健指導により受診率を向上しても死亡率・入院率減少にはつながらないからです.
特定健診に期待をかけるより,死亡率・入院率減少に確実につながる喫煙率の減少のための施策に費用をかけるのが効果的と思います.
谷直樹
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