弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

東京都立病院が,認知症患者が異食により気道が詰まり低酸素脳症となり死亡した事案で和解(報道)

産経新聞「紙おむつ異食、認知症女性死亡 遺族と和解、東京都が解決金支払いへ」(2016年3月9日)は次のとおり報じました.

「東京都立病院で認知症の女性=当時(76)=が紙おむつを口にして死亡したのは病院の責任だとして、長女が都に約2900万円の損害賠償を求めた訴訟は、東京地裁(矢尾和子裁判長)で和解が成立した。都が責任を認めて解決金を支払うなどの内容。和解は2月17日付。

 訴えによると、女性はアルツハイマー型認知症で平成19年から世田谷区の病院に入院。度々紙おむつを口にし、22年3月に気道が詰まって低酸素脳症となり、27年1月に死亡した。

 8日に記者会見した長女は「適切なケアがあれば母は穏やかに人生を歩めたはずだ。医療機関は改善に努めてほしい」と訴えた。都は「患者の個人情報に関わるのでコメントできない」とした。」


これは,私が担当したものではありませんが,世田谷区の都立病院ですから都立松沢病院の事案でしょう.都立松沢病院は精神科医療の専門病院ですので高い水準の精神科医療が期待されます.認知症の行動・心理症状(BPSD)のある患者の看護についても専門的な看護が期待されます.異食の原因となっている不安や不満を取り除く,食事形態を変更しおやつを提供するなどの対応が求められます.
不十分な点について改善し,再発を防止することを期待します.
和解事案は公表されないことが多いのですが,異食の認知症患者の看護という他の病院においても共通する問題を含みますので,公表の意義は大きいと思います.


谷直樹


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by medical-law | 2016-03-09 00:44 | 医療事故・医療裁判