弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

神戸地判平成28年3月29日,気管チューブ抜管時の注意義務違反で日赤に1億2100万円の賠償命令(報道)

神戸新聞「日赤に1.2億円賠償命令 神戸の病院で医療ミス」(2016年3月29日)は,次のとおり報じました、

 「兵庫県災害医療センター(神戸市中央区)での治療ミスによって重い障害が残ったとして、三木市で入院中の女性(42)が同センターを運営する日本赤十字社などに損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁は29日、同社に約1億2100万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性が搬送された5日後の2008年3月26日、医師が女性の気管に挿入中のチューブを抜いたところ異変が生じ、再挿管を2回試みたが心停止となった。別の医師が喉の切開手術で気道を確保したが、手足が動かせず、食事を自分で取れないなどの障害が残った。

 地裁は、心停止時間と蘇生の関係などから、チューブを抜いた医師が切開手術ができる別の医師に早期に応援を求めておけば、重篤な後遺障害は残らなかったと指摘。「医師の注意義務違反と因果関係が認められる」とした。

 日本赤十字社は「判決を吟味し、弁護士と対応を協議中」とコメントした。

 センターを設置した兵庫県の賠償も請求されたが、地裁は棄却した。」



これは,」私が担当した裁判ではありませんが,上記報道で知る限りでは、抜管自体は適法とし,再挿入が必要となる事態,再挿入が困難で手術が必要となる事態を予測し,それに備える義務を認定したもののようです、抜管において,上記のことは多くはなくても予見できない事態ではなく,そのリスクはほとんどつねにありますから,「不測の事態」(予測できない事態)ではありません、予測できる以上は,回避義務がある,といえます、
判決は,一般人の常識にそうものだと思います、


谷直樹


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by medical-law | 2016-03-30 01:15 | 医療事故・医療裁判