最高裁平成28年9月1日判決,訴訟委任状が偽造された件で破棄差戻し
「東京都内の夫婦が「知らない間に民事裁判の被告になって敗訴した」と訴えていた裁判の上告審で、最高裁第一小法廷(桜井龍子裁判長)は1日、夫婦の訴えを認めたうえ、損害賠償を命じた一、二審判決を破棄し、審理を東京地裁に差し戻す判決を言い渡した。」
「第一小法廷は弁護士の委任状が夫婦の意思で作成されたものではないことを認め、「訴訟に関与する機会が与えられなかった」として、審理のやり直しが必要と判断した。」
時事通信 「知らぬ間に被告」敗訴破棄か=賠償命令の夫婦主張-最高裁」(2016年8月30日)は,次のとおり報じました.
「訴訟は、都内に住む80代女性が2014年、競走馬への出資をめぐりだまされたとして、出資先の会社と代表者(68)らに約1300万円の賠償を求めて提訴。夫婦も登記上は会社の役員に名を連ねており、被告とされた。
一審東京地裁は、被告側が出廷せず、主張を記した書面も提出しないことから原告側の請求を全て認めた。被告側は控訴し、代理人も就任して争ったが、二審東京高裁は一審を支持した。
夫婦側は「高裁判決後に原告側代理人から電話を受け、初めて裁判のことを知った。会社代表と面識はあるが、知らぬ間に役員として登記された」と主張して上告した。
会社代表は取材に対し、「会社に送達された訴状や判決文は夫婦に渡さなかった。二審の代理人への(夫婦の)委任状は偽造した」と話し、夫婦に訴訟について知らせなかったことを認めた。
代表は「提訴されたことは個人的な不祥事で、表沙汰にしたくなかった」と理由を説明。ただ、夫婦の役員登記については「合意があった」と主張した。二審の代理人弁護士も夫婦に全く連絡を取らなかったことを認め、「意思を確認すべきだった。委任状があったので大丈夫だと思った」と話した。
上告審の弁論で夫婦の代理人は「民事訴訟制度の根幹に関わる裁判で、一、二審を破棄しなければ正義に反する」と強調した。」
これは,私が担当したものではありません.
上記報道から判断する限り,二審の代理人弁護士が委任者である夫婦に全く連絡を取らなかったことが問題と思います.また,原告代理人弁護士が,提訴のときこの夫婦を被告とするときに,住所地を登記簿に掲載されている住所地としなかったことにも問題があります.さらに、それを許してしまった1審裁判所の扱いにも問題があります.
谷直樹
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