里古りて柿の木持たぬ家もなし

旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
は余りに有名な辞世の句ですが,芭蕉は,その年に
里古りて柿の木持たぬ家もなし
をよんでいます.
これも有名な句ですが,柿の木のある古村が思い浮かびます.
芭蕉の弟子向井去来の別荘「落柿舎」は,柿の売買契約締結後引き渡し前に,強風で柿がすべて落ちてしまった,という出来事に由来します.
現行民法は,「特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。」と規定していますから,買主の負担になります.
改正民法は,「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。」と定めるので,買主は代金支払を拒むことができます.
江戸時代の法律は知りませんが,向井去来は買主をゆるしてやり落ちた柿の代金を請求しなかったとのことです.
谷直樹
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