福岡地判平成28年10月27日,福岡県弁護士会の会員弁護士への指導監督義務違反否定
「元弁護士に預かり金をだまし取られた会社2社と不動産業の男性が、指導監督義務違反があったとして、元弁護士が所属していた福岡県弁護士会に計約2億3千万円の賠償を求めた訴訟の判決が27日、福岡地裁であった。倉沢守春裁判長は「弁護士の受任事件について、弁護士会が指導監督をすることは一般的に想定されていない」として請求を棄却した。
倉沢裁判長は、弁護士の高い独立性や守秘義務を侵害する恐れがあるため、弁護士会による各弁護士の指導監督は、明らかに違法な弁護活動と認められる場合に限られると指摘。今回は、弁護士が面談で金銭問題を否定するなどしており「対応が違法だったとは言えない」と結論付けた。
判決によると、元弁護士への苦情が相次いだことから、県弁護士会は2010年7月~11年8月に元弁護士と面談。懲戒手続きを始めたのは12年3月で、原告側はその間に元弁護士に計約2億2千万円をだまし取られた。元弁護士は同5月に自己破産し、弁護士資格を喪失した。
元弁護士は、原告を含む4社と6人から計約4億6900万円を詐取、横領したとして12年10月、懲役14年の判決を受けて服役中。県弁護士会は13年に対応が不適切だったとする調査報告書をまとめていた。」
たしかに,「不適切」と「違法」とはイコールではありません.
ただ,「(明らかに)違法な弁護活動」とおよそ弁護活動にあたらない「詐取,横領」とを区別して考えることもできるように思います.つまり,およそ弁護活動にあたらない「詐取,横領」については,可及的すみやかに懲戒手続きを開始する義務はあるのではないでしょうか.
当該弁護士に否定されたにしても,当該弁護士の品性,特性を知っていると考えられる弁護士会が,懲戒手続き開始までこんなに年月がかかるものなのでしょうか.
谷直樹
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