弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

愛知県がんセンター中央病院,術後3日目に発熱や腹痛を訴え4日目に死亡した件で和解(報道)

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中日新聞「愛知がんセンター、遺族に1300万円賠償 医療事故で和解」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「愛知県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)は27日、2012年5月に女性患者が死亡する医療事故があり、遺族に1300万円を支払うことで和解が成立したと発表した。

 病院によると、卵巣がん手術をした40代女性が3日後に発熱や腹痛を訴え、翌日、十二指腸潰瘍による出血性ショックで死亡した。病院が設置した医療事故調査委員会は、手術のストレスや鎮静剤の影響で十二指腸潰瘍となり、容体が急変したと断定した。

 遺族側は14年、急変後にすぐコンピューター断層撮影(CT)検査をして治療をしていれば、救命の可能性があったとして、病院側に7500万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴。病院側は一部反論していたが、地裁が今年11月に示した和解案を全面的に受け入れた。県庁で会見した丹羽康正院長は「事故後、患者の異変をいち早く察知し医師や看護師が一体的に対応するシステムを導入した。遺族が強く望む再発防止に取り組みたい」と述べた。」


読売新聞「がん手術後に女性死亡、愛知県が和解金1300万円」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「愛知県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)で卵巣がんの手術後に死亡した40歳代の女性(同市)の遺族が、「早期の検査で死亡は回避できた」として、県に約7500万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が東京地裁で成立した。和解金1300万円を支払うとの内容で、県が27日、発表した。和解は26日付。

 発表によると、女性は2012年5月28日に手術を受けた後、発熱や腹痛などを発症。同年6月1日、さらに状態が悪化し、CT(コンピューター断層撮影法)検査を行ったところ、消化管出血による出血性ショックと診断され、間もなく死亡した。病理解剖で十二指腸の潰瘍と、それに伴ってできた穴が見つかった。

 遺族は14年10月、「医師の継続監視が不十分で、CT検査を早く行えば手術もでき、死亡は避けられた」として提訴。県側は「CT検査をしても、潰瘍や穴の診断は難しかった可能性が高い」などと主張してきたが、「早期に検査をしなかったことなど改善すべき点はあった」として、地裁の和解勧告に従ったという。」


日本テレビ「手術後に死亡の医療事故、病院と遺族が和解(愛知県)」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「愛知県がんセンター中央病院で手術を受けた女性が手術後に死亡した医療事故で、病院が女性の遺族と和解した。名古屋市在住だった女性は4年前、卵巣がんの手術を受けた4日後に出血性ショックにより死亡した。女性の遺族は、病院と当時40代の主治医に対し「早い段階でCT検査を行うべきだった」などとして、約7500万円の損害賠償を求める裁判を起こしていた。愛知県がんセンター中央病院によると「女性の死因は手術のストレスなどによる十二指腸潰瘍が原因で、救命は困難だった」としているが「CT検査を早い段階で行わなかったことは不適切だった」と認め、26日、遺族に1300万円を支払うことで和解が成立したという。」

これは私が担当した事件ではありません.
術後の出血性ショックによる死亡症例の相談が少なくありません.
1件1件経過が異なりますが,検査義務と因果関係を検討するうえで参考になる例です.


谷直樹

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by medical-law | 2016-12-29 20:54 | 医療事故・医療裁判