「翁」

正月には「翁」が舞われ奉納されます.
「翁」は,神(精霊)が「翁」として天下泰平国土安穏・五穀豊穣を祝祷して舞います.
「翁」は,呪術的な千秋万歳の悦びの舞です.
「翁」は,能にして能にあらず,と言われます.
能より前の翁猿楽の式三番(翁)だからでしょう.
世阿弥は「さるがくのまひとは、いづれととりたてゝ申べきならば、此道のこん本なるがゆえに、をきなの舞と申べきか。又うたひのこんぽんを申さば、をきなのかぐらうたと申べきか。」と書いています.
中沢新一氏の「精霊の王」によれば,日本国家が成立する前の最古の神,石神(シャクジン,シャクジ)が,後戸の神シュクジン(宿神)として復活し,「翁」こそがそのシュクジンである,とのことです.中沢新一氏は,金春禅竹の「翁ヲ宿神ト申タテマツルコト」を引いています.
神棚に祀られている表の神とは別の,古来よりの民俗的な後戸の神が「翁」です.
このような見方を知ると,「翁」が特別の舞であることがよくわかります.
谷直樹
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