日本弁護士連合会,「児童虐待対応における司法関与に関する意見書」

日本弁護士連合会は,平成29年1月20日,「児童虐待対応における司法関与に関する意見書」を発表しました.
その内容は次のとおりです.
一時保護
1 一時保護に司法審査を導入するという方向性は支持できる。
2 実際の導入に当たっては,児童虐待防止・児童の救済に支障が出たり,児童相談所のケースワーク機能が阻害されることのないように,児童相談所及び家庭裁判所の体制整備,児童相談所の調査権限の強化が不可欠の前提である。また,立法趣旨を明確にした上で,一時保護の要件や手続の検討が不可欠である。
3 一時保護に対する司法審査は原則として事後審査であるべきである。
保護者指導
1 現行制度の活用の徹底を図るという方針については賛成である。
2 司法関与の導入に当たっては,多様性のある具体的な指導プログラムを家庭裁判所が適切に作成できるのか,行政と司法の役割分担に照らし,本来行政をチェックするべき司法が自ら具体的な指導に関して命令を発することが適切か,そもそも児童相談所の指導に従わない保護者が家庭裁判所の命令に従うのかといった点について,十分な議論が尽くされる必要がある。
3 実効性の確保のために保護者が家庭裁判所の命令に従わない場合に直ちに一時保護を行うとの制度案は,一時保護の趣旨から大きく外れており賛成できない。
面会通信制限・接近禁止命令
1 面会通信制限への司法関与の導入に当たっては,その必要性を検討する必要があるとともに,虐待事案における面会交流の在り方についての十分な調査及び研究を踏まえて行う必要がある。
2 接近禁止命令への司法関与の導入は支持できるが,その制度設計や要件について十分検討する必要がある。
3 接近禁止命令の対象範囲を一時保護やいわゆる同意入所の場合に拡大することについては賛成である。
御一読をお奨めいたします.
谷直樹
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