弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

朝日新聞社説,無痛分娩安全確保へ基準作りを/京都新聞社説/読売新聞社説/山陽新聞社説

2017年9月9日の朝日新聞社説「無痛分娩 安全確保へ基準作りを」は,「安心して赤ちゃんを産めるよう、医療界は全国の実情を調べるとともに、安全確保のための基準作りを急がねばならない。」と述べています.

「お産が大きな病院に集約されてきている欧米と違い、日本ではおよそ半分を診療所が担う。無痛分娩も半数以上は診療所でおこなわれている。

 麻酔を専門で担当する医師を常駐させることが難しい場合、異常時に備え、産科医や看護師、助産師は日ごろからどのような態勢をとるべきなのか、近くの医療機関とどのように連携するかについても、具体的に検討することが欠かせない。

 医師らが正しい知識と技術を習得できる場を整備するとともに、研修などを受けて技量を備えた者を学会で認定し、それが利用者にもわかるようにしておく仕組みも必要だ。

 出産時の妊婦や新生児の死亡率でみると、日本は最も安全にお産のできる国だ。それでもリスクがなくなることはない。麻酔のメリット、デメリットを含め、医師は正確な情報を伝え、妊婦や家族は疑問があれば納得するまで話を聞く。お産に関してもそんな姿勢が大切だ。」


2017年9月⒌日の京都新聞社説「無痛分娩  安心して臨める体制を」は,「医師は合併症などのリスクを十分に説明し、妊婦側もしっかり理解して選択したい。」と述べています.

「総合病院での出産が主流の欧米と違い、日本では小規模な医院やクリニックでの出産が多い。麻酔の専門医が少ない事情もあり、未熟な医師が、母子の容体急変時の救命体制が不十分なまま、世の中のニーズや営利を優先して施術している可能性がある。
 無痛分娩は一般的に、脊髄に近い「硬膜外腔(がいくう)」に細いチューブで麻酔薬を注入する。注入箇所を誤れば、薬が効き過ぎて妊婦が意識を失ったり、母子ともに障害を負ったりすることがある。
 今年1月と5月に相次ぎ亡くなった女性のケースは、それぞれ大阪、神戸のクリニックでの施術後に意識不明になったという。京都では12年と16年に京田辺市の同じ医院で母子が重い障害を負った例が判明。家族が小規模な産科の安全体制に疑問を投げかけている。
 大阪と、12年の京都のケースはそれぞれ業務上過失致死、同傷害の容疑で捜査中だが、国や医学界も過去の事故を詳しく調べ、改善点を洗い出して再発防止につなげねばならない。研修や訓練による個々のスタッフのレベル向上に加え、産科と麻酔科の連携、大病院と診療所の間の緊急時のサポートなどを強化したい。」


2017年8月25日の読売新聞社説「無痛分娩 事故抑止へ問題を洗い出そう」は,「無痛分娩でもレベルアップを図るべきだ。専門医の学会が中心となり、安全に実施するためのガイドラインを策定する必要がある。研修なども増やしたい。診療所で妊産婦の容体が急変した場合に、即座に対応できるよう、大病院との連携体制を強化することも欠かせない。無痛分娩には一定のリスクが伴う。出産する側も、それを認識することが大切である。疑問点や不安な面があれば、医師から十分に説明を受け、納得した上で、出産の方法を選択したい。」と述べています.

2017年08月26日の山陽新聞社説「無痛分娩 安全に実施できる体制を」は,「研究班は無痛分娩の安全な管理体制や研修のあり方などについて検討し、提言をまとめるという。妊産婦が、より安心して無痛分娩を選べる対策を示してもらいたい。」と述べています.

 「欧米では総合病院での出産が一般的だが、日本では小規模な診療所で出産する人も多い。16年度に国内で実施された無痛分娩のうち、半数以上は診療所で行われている。無痛分娩の大半は安全に実施されているようだが、気になるのは医療体制が十分とはいえない施設でも行われていることである。

 神戸市の産婦人科医院で15年9月に無痛分娩で出産した女性と生まれた子どもが重い障害を負ったケースでは、麻酔薬を注入した後、院長は外来診察に行き、女性が呼吸困難に陥った時にそばにいなかった。事故当時、院内の医師は院長1人だったという。女性は意識が戻らないまま、今年5月に死亡した。

 麻酔は麻酔科医でなくても施すことができ、産科医1人の診療所でも無痛分娩は可能だ。だが、麻酔を使う以上はリスクを伴う。経過を十分に観察すべきなのはもちろん、容体急変に備えて、他の医療機関との連携態勢なども整えておく必要がある。」



無痛分娩事故問題についての方向性(実態調査,ガイドライン作り等)は見えてきたように思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-09-09 15:03 | 無痛分娩事故