大学病院,医師の処方箋の738倍のセレンで患者死亡(報道)
「京都大付属病院は3日、薬剤師が調剤した注射薬を自宅で投与した60代の女性患者が死亡したと発表した。薬は通常の700倍超の濃度で、調剤を誤った可能性が高いという。稲垣暢也院長は「このような事態を招き、心よりおわび申し上げる」と謝罪した。
女性が投与した前日に、一緒に調剤された注射薬を使った別の患者は、色の異常に気づき、投与を途中で止めていたという。病院は報告を受けたものの、死亡した患者に使用中止を伝えていなかった。病院側は「この時点では原因が分かっていなかった」と釈明している。
京大病院によると、注射薬は「セレン注製剤」。8月28日、医師の処方箋に従って薬剤師2人が調剤した。9月26日夕、患者が自宅で投与し、約3時間後に背中に痛みを感じたため、翌27日午前に同病院で処置を受けたが、死亡した。病院が調べたところ、通常の738倍の濃度のセレンが含まれていたことが判明した。
別の患者は9月25日にセレン注製剤を使用したが「薬の色が赤みを帯びている」と途中で投与を中止したうえで、病院に報告していた。
調剤した薬剤師は、1人がキャリア十数年、もう1人は5年未満だった。
セレンは体内に存在する微量元素で、欠乏するとさまざまな症状をきたす。医薬品として販売していないため京大病院では薬剤師が注射薬を調剤していた。
病院は厚生労働省や京都府警に事故を届けた。今後、調査委員会で詳しく検証する方針。」
セレンは,食物などに含まれる金属です.生命活動に欠かせない必須微量元素の1つです.
セレン(セレニウム)は,サプリメントとしても販売されていますが,毒性が強く,推奨料と中毒量の差が小さく,注意が必要です.
そのセレンを,医師の処方箋の738倍も調剤したのは,重大な過誤と言えるでしょう.
また,別の患者の報告を受けて病院が本件患者に連絡し中止させていたならと思うと非常に残念です.
徹底した原因解明と有効な再発防止策の策定を期待します.
谷直樹
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