十分な説明がなく検査と手術が行われたとして提訴される(報道)

山形新聞「十分な説明なく検査・手術 長井の女性患者、○○を提訴」(2017年11月1日)は,次のとおり報じました.
「○○病院(川西町)で2016年4月、狭心症の検査と手術を受けた長井市の女性が、施術内容について医師から十分な説明がなかったのは義務違反だとして、同病院を運営する○○に慰謝料など220万円の損害賠償を求める訴訟を山形地裁に起こしたことが31日、分かった。
訴状によると、女性は動悸(どうき)などの症状を訴えて救急搬送され、処置を受けた後に帰宅したが、病院の勧めなどから翌日に入院した。担当医師からの十分な説明がないまま検査と手術が行われ、医師からはその後、「ステント(血管を拡張するための金属製の筒)二つ入れました」と報告を受けたとしている。
日本医師会の「医師の職業倫理指針」では、「医師は検査・治療の内容や方法などについて患者が理解できるよう説明する義務があり、患者の同意が不可欠である」とされているが、女性は「医師から十分な説明がなく、治療への同意もしていなかった」としている。手術後、異物感などに悩まされた上、治療の選択肢を奪われたことで「人格権、自己決定権を侵害され、精神的苦痛を受けた」と訴えている。」
報道の件は,私が担当したものではありません.
患者には,最善の医療を受ける権利だけではなく,説明を受ける権利があります
医療の内容が適切で最善の医療であっても,説明が不足していると説明義務違反が考えられます.
75%以上の狭窄があり,薬物治療の効果が認められないと,循環内科の医師はPCI治療を奨めることがことが多いと思います.とくに,症状があって救急搬送された後では,PCI治療を奨めるでしょう.説明がないままにPCI治療が行われることは普通ないのですが,医師がPCI治療が当然と考えると,他の選択肢を念頭においた説明が不足することがあるのかもしれません.
谷直樹
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