石川県の病院,感染症に気づかず抗がん剤治療を行い患者が死亡した事案で示談(報道)
毎日新聞「患者死亡、700万円賠償 責任認め示談」(2017年12月2日)は,次のとおり報じました .
「病院側によると、患者は県内の60代の女性。昨年5月20日に同病院で子宮がんの摘出手術を受け、同6月29日にはがんが転移したリンパ節の摘出手術を受けた。翌日の血液検査で「経過良好」とみなされ、同7月4日に抗がん剤治療を受けた後に吐血。肺に血が入り、同6日に呼吸不全で死亡した。
遺族側は、手術後に発症した感染症に病院側が気づかず抗がん剤治療を行ったため、女性は体力が低下し吐血したと主張。病院側も、治療が適切に行われていれば死亡しなかった可能性を認めた。
同病院は再発防止策として、化学療法を行う際には術後2週間の経過観察を義務づける規定を設けた。【石川将来】」
報道の件は,私が担当したものではありません.
がん治療は標準化した治療方法が実施されますが,反面,治療が流れ作業のようになってしまうと,個々の患者の状態をみることがおろそかになる場合があります.
感染に対し白血球等の数値が上昇するまでの時間差を考えると,上翌日の血液検査だけで感染なしとは判断できません.手術から抗がん剤治療までが,流れ作業のなっていたのではないでしょうか.
抗がん剤治療は抵抗力を低下させますので,感染症が悪化しがちです.
術後2週間の経過観察を義務づけること自体はよいですが,患者の状態は個々に違いますので,個々の患者をよくみて状態に応じて臨機応変に対応する必要もあるように思います.
谷直樹
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