歯科のカンファレンス鑑定
私は,医科のカンファレンス鑑定は随分行っていますが,歯科の官ファンス鑑定ははじめてです.
東京地裁としては,これが2件目の歯科のカンファレンス鑑定です.
まず,裁判所から質問し,次に鑑定申請人である原告から,その次に被告から,それぞれ質問がなされました.東京地裁なので,代理人の質問を制限するようなことはありませんでした.
この件は,適切な教育を受け豊富な経験と高い技術力を備えた熟練した臨床医にとっては適応があり,そうでない臨床医には適応がない,と考えられる事案なのですが,鑑定人の意見は以下のように分かれました.
A鑑定人; 適応症例ではなかった。しかし、本症例に適応してはならないわけではない。
B鑑定人;不適応であったと考える。
C鑑定人; 適応があったと考えられる。
抜歯即時埋入の適応についても,次のとおり分かれました.
A鑑定人;抜歯即時埋入の適応があったかについては不明である。抜歯即時埋入は大きく予後に影響を与える。
B鑑定人;不適応であったと考える。
C鑑定人;適応があったと考えられる。予後に影響を与えたとは考えない。
各鑑定人の「適応」の意味が違うのですが.
裁判所と原告,被告の質問で,鑑定人の真意はおおよそ明らかになったと思います.裁判所に判決を書いてもらうためには,鑑定結果について丁寧な準備書面を書く必要がある,と思いました.
なお,受任件数を適正な数に調整するために,今は歯科事件の新規受任は止めています.
谷直樹
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