冬来たりなば春遠からじ
「冬来たりなば春遠からじ」は,英国の詩人Percy Bysshe ShelleyのODE TO THE WEST WIND(西風によせて)の最後の一節を訳したものです.
Make me thy lyre even as the forest is :
What if my leaves are falling like its own !
The tumult of thy mighty harmonies
Will take from both a deep, autumnal tone,
Sweet though in sadness. Be thou, Spirit fierce,
My spirit ! Be thou me, impetuous one !
Drive my dead thoughts over the universe
Like withered leaves to quicken a new birth !
And, by the incantation of this verse,
Scatter, as from an unextinguished hearth
Ashes and sparks, my words among mankind !
Be through my lips to unawakened earth
The trumpet of a prophecy ! O, Wind,
If Winter comes, can Spring be far behind ?
落葉を謳っていることから,季節は秋です.
西風は破壊と創造をもたらす強大な力として描写されています.
The trumpet of a prophecy (預言のラッパ)は,厄災の始まりを告げる7天使のラッパ(ヨハネ黙示録)を想起させます.その次の行で,冬が来たら,春は遠いということがあるだろうか?,と結んでいます.
冬は圧政を,春は民主政を意味するという解釈もあります.
西は太陽が沈む方角ですので死を象徴し,冬はShelleyの相次ぐ子の死亡を意味するという解釈もあります.
疑問符で終わっている原詩を,「春遠からじ」と訳したからこそ,この言葉が原詩を離れて有名になったのでしょう.ただ,原詩は,「春遠からじ」という自若泰然としたものではなく,むしろ荒々しい西風に恐れおののくものです.
季節の春は天体(地球)の動きにより到来しますが,人生の春は人の行動により到来します.
そして,つらいことがあった人に春が来るように,西風に立ち向かうため最大限の手助けをするのが患者側弁護士の仕事です.
谷直樹
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