弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

富山地裁平成29年12月27日判決,投薬変更を説明しなかった病院に330万円支払いを命じる(報道)

朝日新聞「投薬めぐり○○病院に330万円支払い命じる」(2017年12月29日)は,次のとおり報じました.

「○○病院(富山市婦中町新町)に入院していた女児(当時4)が急性腎不全で死亡したのは、医師が誤った判断をしたためだとして、滋賀県守山市の両親が医師らに3240万円の損害賠償の支払いを求めた訴訟の判決が富山地裁で27日に言い渡された。広田泰士裁判長は医師らの責任の一部を認め、医師らに330万円の支払いを命じた。

 判決によると、2009年、医師が入院中の女児に肺炎治療のために投与していた薬を変更。しかし両親には変更を説明していなかった。女児はその後急性腎不全で死亡した。

 判決は変更した薬の投与はマニュアル通りで、原告が不法行為と指摘した他の薬との併用も「医療水準に従ったもの」と判断。ただ、変更した薬には副作用で腎不全を引き起こす可能性があることを両親に説明すべきだったとして、330万円の支払いを命じた。

 両親の代理人弁護士は「判決文を見て控訴するかどうかを検討する」。同病院側は「代理人弁護士と相談していないので現時点でコメントは控える」としている。」


報道の件は,私が担当したものではありません.
300万の慰謝料と弁護士費用30万円の支払いを命じるのは,説明義務違反としては高額なほうです.
投薬により腎不全を引き起こすことがあり得ることは予見できたのですから,併用薬との関係で個別事情を考慮し投薬量をマニュアル通りではなく減量する注意義務があったのではないか,検討の余地があると思います.
ちなみに,最判平成21・3・27 集民230号285頁は,「C医師には,Aの死亡という結果を避けるためにプロポフォールと塩酸メピバカインの投与量を調整すべきであったのにこれを怠った過失があり,この過失とAの死亡との間には相当因果関係があるというべきである。本件において,C医師がプロポフォールと塩酸メピバカインの投与量を適切に調整したとしてもAの死亡という結果を避けられなかったというような事情はうかがわれないのであるから,プロポフォールと塩酸メピバカインの投与量をどの程度減らすかについてC医師の裁量にゆだねられる部分があったとしても,そのことが上記結論を左右するものではない。」「本件の個別事情に即した薬量の配慮をせずに高度の麻酔効果を発生させ,これにより心停止が生じ,死亡の原因となったことが確定できる以上,これをもって,死亡の原因となった過失であるとするに不足はない。」と判示しています.

谷直樹

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by medical-law | 2017-12-30 10:45 | 医療事故・医療裁判