弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ロイター,加熱式たばこiQOSの臨床試験にいくつかの不備があったこと

フィリップモリスインターナショナル(PMI)が米食品医薬品局(FDA)に提出した8件の臨床試験中4件は日本で行われました.

iQOSの臨床試験の治験責任医師の1人、杉本雅幸医師は、ロイターの取材に,非喫煙者は治験に参加できないとしながらも「(尿検査の有無に関し)そこまで厳密にやったかどうか」と述べ、「正確な記憶がない」と述べたそうです.

試験を行った別の日本の医療機関では、被験者がインフォームドコンセントにサインする手順が終わる前にサンプル採取を始めたため、被験者56人のデータが廃棄された,とのことです.試験の責任医師だった沖守氏は、この件に関し電話での取材の依頼に「私の専門は泌尿器科で、タバコの方は知識もないし、お話できない」と答えた,とのことです.

責任医師だった東京ハートセンターの遠藤真弘氏はロイターのインタビューで、臨床試験の結果については知らされていないと繰り返し述べ,その翌日、遠藤氏はメールで、事実関係を確認したところ「試験の結果は、総括報告書を受領し、説明も受け、受領書にサインした」と訂正したとのことです.
元FDA長官のケスラー氏は、試験の結果に精通していない責任医師らが署名をしていることは理解し難い、と話したそうです.

元FDA長官デビッド・ケスラー氏は「全体として、彼らには、適切でうまくコントロールされた治験を行うための高度な知識がないことが明らかだ」,「悪意があったと言うつもりはないが、単に高度な知識の欠如がみられる。これは(治験が)PMIの専門とするところではないからだろう」,「丁寧に結果を精査し、査察の対象を拡大する必要があるかもしれない」と述べたとのことです.




谷直樹

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by medical-law | 2017-12-31 01:31 | タバコ