弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

無罪判決は検察のミス?

大阪府豊中市で2015年小学生ら6人に重軽傷を負わせたとして危険運転致傷罪と過失傷害罪に問われた会社員を無罪とした大阪高裁判決に対し,大阪高検は昨年12月28日上告を断念すると発表しました.田辺泰弘次席検事が「判決内容を十分検討したが適法な上告理由までは見いだし難かった」述べたと報道されています.

この件は,検察は,運転前に服用した睡眠導入剤の影響があったとして,危険運転致傷罪,予備的に過失傷害罪の成立を主張していましたが,大阪地裁,大阪高裁ともに,薬の作用は個人差があり,事故直前までの運転が正常だったことから何れの罪も成立しないとしました.
ただ,裁判所は,睡眠導入剤以外の点で過失があった可能性を示唆していました.

私が担当した事件ではありませんので報道以上のことは不明ですが,無罪判決は検察の訴因設定ミスの可能性もあるのではないでしょうか.以前,「犯罪が複雑化するなかでも真相解明に努め、強い検察として期待に応えたい」(大阪高検検事長),「犯罪に誠実に向き合い信頼を回復したい」(大阪地検検事正)と語っていましたが,どうしてこのような訴因になったのか,検察内部での真摯な検討が必要でしょう.

医療過誤事件でも同じ様なことがあります.
医療事件に詳しくない弁護士などが担当した事件を引き続ぐと,機序を誤解していたり,私からみると本来過失として主張立証すべき点を主張していないことが少なからずあります.医療過誤事件の主張立証方針は弁護士により異なる場合がありますので,医療事件に詳しい弁護士を依頼したほうがよいと思いますが,医療事件に詳しくない弁護士に依頼している場合,主張が迷走しているなど訴訟遂行について疑問を感じたなら,セカンド・オピニオンを求めることも1つの方法でしょう.
また,当事務所は,医療事件に詳しくない弁護士のために,「弁護士向けサポート相談」を行っています.お気軽にご利用下さい.

谷直樹

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by medical-law | 2018-01-05 12:11 | 司法