「解説弁護士職務基本規程第3版」
「解説弁護士職務基本規程第3版」(2017年12月発行)を,第2版(2012年12月発行)と読み比べました.だいぶ厚くなり,第3版には最近の先例が収載されていました.
白から緑の縦縞のグラデーションの表紙は,この本の内容を象徴的に表現しています.ダークグレー,ミディアムグレー,ライトグレーのあたりの解説は,必ずしも全委員が納得しているわけではなさそうです.
解説としてはかなり踏み込んで書いているところもあれば,当然許されないだろうと思う例が,微妙な先例があるのでそうなるのでしょうが,(歯切れ悪く)例外的に許される場合もあるような書き方をしていたり,許される行為と許されない行為の線引きがわかりにくい曖昧な書き方がされているところも結構あるように思いました.手続きを践んでいなければ,内容が適正妥当であろうと許されないとなるのが当然のように思うのですが,必ずしもそのような解釈になっていないようです.また,許されないのは一致しても,どの条文を適用するか,に争いがある部分もあるようです.先例を無視できない以上,このような解説になるのでしょうが,先例が必ずしも支持できるものとは限らないことを考えると,「解説」である以上それでよいのか難しいところです.
考え方に諸説あり,単位会と日弁連で分かれた例もあります.組織内に多様な考え方があること自体は一般的には健全なことなのですが,事柄の性質上解釈の統一が必要とされるでしょうから,そのような問題については徹底的に議論を重ねたほうがよいと思います.
事例・先例の集積を俟つようなものではありませんので,会員の考え方の分かれているものについて規程で規制することは現実には難しいのかもしれませんが,「弁護士職務基本規程」が制定されたのは平成16年のことですので,しかも必要に迫られわずか3年の検討で作られたことも考えると,これから5年くらいかけて「弁護士職務基本規程」を現行の20倍くらい詳細にし明確化する方向で改訂したほうがよいのではないかと思います.
谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
↓
にほんブログ村