弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

雪まろばし

春の桜,秋の紅葉よりも,冬の夜の澄める月に雪の光りあひたる空こそが身にしみる,と源氏物語「朝顔」に書かれています.

人の心を移すめる花紅葉の盛りよりも 冬の夜の澄める月に雪の光りあひたる空こそあやしう 色なきものの身にしみて この世のほかのことまで思ひ流され おもしろさもあはれさも残らぬ折なれ


雪が降ったあとに月が出た庭に,童女たちを下ろして雪で球を作らせます.「雪まろばし」です.ちなみに雪だるまがつくられるようになったのは江戸時代からです.

月は隈なくさし出でて ひとつ色に見え渡されたるに しをれたる前栽の蔭心苦しう 遣水もいといたうむせびて 池の氷もえもいはずすごきに 童女下ろして 雪まろばしせさせたまふ 

雪の積もった庭に月の光がさす.この冷たい色のない情景に,雪まろばしに興じる童女たちをくわえることで,限りなく美しい情景となっています.

をかしげなる姿頭つきども月に映えて 大きやかに馴れたるがさまざまの衵乱れ着帯しどけなき宿直姿 なまめいたるに こよなうあまれる髪の末白きにはましてもてはやしたる いとけざやかなり 小さきは童げてよろこび走るに 扇なども落して うちとけ顔をかしげなり


谷直樹

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by medical-law | 2018-01-23 04:27