大阪市の病院,気管にチューブ誤挿入で女児が現在も意識不明で低酸素性脳症のため重度の障害が残る
「地方独立行政法人・大阪市民病院機構は14日、運営する大阪市立総合医療センター(同市都島区)で昨年9月に心臓手術後の生後2カ月の女児に対し、気管に入れるチューブを誤って食道に入れ、一時的に心肺が停止する事故が起きたと発表した。
同機構によると、手術後に呼吸を管理するため、女児の気管にチューブを入れていた。状態が安定したため、一度チューブを抜いたが、呼吸状態が悪化したことから、再びチューブを入れた。その後、血圧が急激に下がって心肺停止の状態に陥り、再開するまでに29分間かかったという。
原因を調べた結果、チューブを誤って食道に入れていたことが判明。現在も意識不明で、低酸素性脳症で重度の障害が残るとみられるという。
同機構は「気管挿入時に呼吸音や胸の膨らみを確認するなど、再発防止策を徹底する」としている。」
報道の件は私が担当したものではありません.
気管チューブを誤って食道に入れてしまうという事故は時々起きています.
気管チューブを誤って食道に入れた時点で,医療ミス(過失)です.
ただちに誤りに気づいて気管に入れ直しをして何事も生じなければ,単なる医療ミス(過失)であって,賠償責任は生じません.
ところが,誤りに気づくのが遅れ,患者の生命身体に悪しき結果が生じた場合は,医療ミス(過失)と因果関係がある医療過誤として,賠償責任を負います.
単なる医療ミス(過失)と医療過誤は,混同されがちですが,悪しき結果が生じなかったものが単なる医療ミス(過失)で,過失に因って悪しき結果が生じたものが医療過誤です.
上記報道の件は,過失によって悪しき結果が生じていますから,医療過誤にあたります.
なお,食道挿管は,気管チューブを誤って食道に入れたことが過失なのか,気管チューブを誤って食道に入れたことに気づくのが遅れ入れ直しが遅れたことが過失なのか,という問題があります.どちらも過失である,というべきでしょう.
裁判所は,新生児の誤挿管(食道挿管)事案で,麻酔科医師には気管内挿管を的確に行う注意義務があることから過失を認め,産科医師には挿管後に肺の酸素化ができていることを確認する義務があることから過失を認めています(福岡地裁平成11年7月20日判決).
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