弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院,首のリンパ節へ転移した舌癌の手術後に患者がが死亡した件で警察が捜査

産経新聞「口腔がん手術直後に男性死亡 警視庁が捜査」(2018年2月16日)は次のとおり報じました.

 「昨年9月、○○病院(東京都)で口腔がんの手術を受けた都内の70代の男性の容体が手術直後に急変し、死亡していたことが15日、関係者への取材で分かった。手術やその後の処置に何らかの問題があった可能性があり、警視庁神田署が男性が死亡した詳しい経緯を調べている。

 関係者によると、男性は口腔がんの一種である「舌がん」と診断され、昨年9月25日に同病院で首のリンパ節に転移したがんの切除手術を受けたが、数時間後に容体が急変。搬送先の別の病院で死亡が確認された。術後の出血により、出血性ショックや窒息などで死亡した可能性がある。医師法に基づく「異状死」として神田署に届け出があり、同署が男性の遺体を解剖するなどして詳しい死因を調べている。

 遺族側の代理人弁護士によると、病院側は手術前、「出血も少なく、輸血を必要とするような手術ではない」などと説明、死亡の可能性についても言及はなかったという。病院は院内に外部の有識者を含む検証委員会を立ち上げたが、医療事故調査制度に基づく第三者機関への発生報告は行っていなかった。同院は「患者が死亡したことは重く受け止めている。再発防止に努めたい」としている。」


上記報道の件は,私が担当したものではありません.
搬送先の別の病院が「異状死」として神田署に届け出,司法解剖が行われたことが分かります.
○○病院は,検証委員会を立ち上げたが,医療事故調の事故としての届出は行っていなかったとのことです.
報道の件については,死亡原因等が分からない段階では何とも言えないのですが,一般論としては,術中,術後の出血死について裁判所が過失がないと認定するのはきわめて例外的なケースで,多くは過失を認めるものと思います.

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by medical-law | 2018-02-16 23:58 | 医療事故・医療裁判