「星たちの栞」(『活版印刷三日月堂 星たちの栞』より)

『活版印刷三日月堂 星たちの栞』の登場人物は,みんな失ったものをかかえながら生きています
桐林泉はカンパネルラを,遠田真帆をジョバンニを高校時代に演じました
泉は,真帆に問いかけました.
-ね、,遠田。『ほんとうのさいわい』ってなんだと思う?
-カムパネルラがザネリの代わりに死んだのは、正しいことだったと思う?
真帆は,わたしにはまだわからない,と答えました.
その真帆は,今は,私立鈴懸学園に勤め,文芸部顧問をしています.
ひとつひとつ星のような,コースターの文字に心打たれ,鈴懸学園で活版印刷の出張ワークショップが行われるよう働きかけます.
真帆が刷った栞は,「カムパネルラ、僕たちいっしょに行こうねえ。」です.
その栞を,真帆は泉に渡そうと思うのです.
「銀河鉄道の夜」のこの場面の喪失感は,誰もが感じる人生そのものでしょう.
「「カムパネルラ、僕たち一緒に行かうねえ。」ジヨバンニが斯う云ひながらふりかへつて見ましたら、そのいままでカムパネルラの坐つてゐた席に、もうカムパネルラの形は見えず黒いびろうどばかりひかつてゐました。」(宮澤賢治「銀河鉄道の夜」より)
「星たちの栞」では,喪失感だけではなく,希望を見いだします.次のように.
「カムパネルラは、ザネリを救うために、とっさに川に入ったのですよね? そうやってだれかを救いたいという衝動が人のなかにある、そのこと自体が、希望のように思えます。」
谷直樹
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