「ひとつだけの活字」(『活版印刷三日月堂 星たちの栞』より)

図書館司書佐伯雪乃の祖母の家は戦前は活字屋を営んでいました.
ひらかなの活字セットだけが残り,祖母はお年玉袋に孫の名前を活字で押していました.
結婚し司書をやめ夫の海外勤務についていく迷いと不安のなか,雪乃は,その活字を使って結婚式の招待状を作ろうと思いたちます.
ひらかなの活字にあう漢字を用意してもらったけれど,同じひらかなは使えない.
二人で招待状の文章を考えるなか,互いの気持ちがわかってきます.雪乃は次のように考えます.
「いつだって大事なものはわたしのなかにある。だから、大丈夫。どこに行ったって、わたしはわたしだ。だから、大丈夫。」
細やかな短編です.
谷直樹
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