北海道の病院が就職応募者のカルテを採否の資料として見てHIV感染者の内定を取消し(報道)
「エイズウイルス(HIV)感染を申告しなかったことを理由に、病院が就職内定を取り消したのは違法だとして、北海道の30代の男性社会福祉士が13日、病院を運営する社会福祉法人「北海道社会事業協会」(札幌市)に慰謝料など330万円の損害賠償を求め札幌地裁に提訴した。
訴状によると、男性は昨年12月、道内の病院のソーシャルワーカーの求人に応募し、HIVに感染していると告げないまま内定を得た。しかし、以前に患者として受診したカルテを病院が発見し、電話で「話が違う」などと指摘。男性はとっさに感染していないと否定した。病院は、虚偽の事実を伝えたなどとして内定を取り消した。
提訴後に記者会見した男性は「勝手に人のカルテを見ることが一番の問題点。医療水準は格段に進歩しているが、社会的には差別、偏見が残っている」と話した。
北海道社会事業協会は「訴状が届き次第、検討したい」とコメントした。」
共同通信「HIV感染告知不要と提訴 病院の就職内定取り消し」(2018年7月13日)は,次のとおり報じました.
「エイズウイルス(HIV)感染を告げなかったことを理由に病院の就職内定を取り消されたとして、北海道の30代男性が13日、病院を運営する社会福祉法人「北海道社会事業協会」(札幌市)に対し、慰謝料など330万円の支払いを求めて札幌地裁に提訴した。
訴状によると、男性は昨年12月、道内の病院の求人に応募。HIV感染は告げず、ソーシャルワーカーとしての採用が内定した。1月、男性が以前受診した際のカルテを見た病院側から「話が違う」と電話があった。その後「就労に問題はなく、職場で他者に感染する心配もない」とする主治医の診断書を病院側に送ったが、内定を取り消されたとしている。
男性は、厚生労働省のガイドラインなどに反していると主張。提訴後に記者会見し、「納得がいかない。HIVに対しては社会的に根強い差別や偏見があり、現状に一石を投じたい」と訴えた。
北海道社会事業協会は「健康問題に関する質問に対し、原告が虚偽の回答をしたことが内定取り消しの理由」とし、争う考えを示した。」
患者として受診したときのカルテを,職員の採否の資料として閲覧するのは目的外使用にあたりますから,許されることではありません.
また,この病院が,感染症に対する正しい知識と理解をもっていないことも問題で, HIV感染者に対する偏見,差別を助長する取扱です.
報道から判断する限り,慰謝料請求が認められる事案でしょう.
谷直樹
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