弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

京都弁護士会の調査に,京都拘置所は「熱中症が起こらないことは不可能」と回答

毎日新聞「京都拘置所20人 今月24日間 弁護士会が環境調査」(2018年7月26日)は,次のとおり報じました.

「京都弁護士会の人権擁護委員会は25日、連日の猛暑を受けて京都拘置所(京都市伏見区)の収容者に対する熱中症対策について、拘置所で環境調査をした。同日午前10時半ごろの計測で、居室や廊下の気温は34~35度に達しており、今月1~24日の24日間に、計20人が熱中症の症状を訴えて何らかの処置を受けていた。19日午前には、60代と30代の男性収容者2人が救急搬送され、60代男性は一時意識不明になっている。

 弁護士2人が訪れ、職員からの聞き取りと、実地調査を行った。担当した石側亮太弁護士によると、定員は452人で、現在220~230人を収容し、うち女性が約10人。冷房は病舎6室と女性居室2室にしかない。男性の居室は大部屋71室に壁付けの扇風機があるだけで単独室にはなく、廊下の端に大型扇風機があるが、壁やドアで隔てられ、室内に風は入らないという。

 拘置所は各フロアで1日5回室温計測しており、期間中最高だったのは17日午後2時の36・1度。夜間の最高は19日午前0時の34度。収容者にはお茶の他、1日に500ミリリットル入りのスポーツドリンク2本、塩タブレット6個を支給し、就寝時に保冷枕を配布しているという。施設が1961年築と古く、エアコンや扇風機を増設するための配線や電気容量確保が難しいといい、拘置所側は調査に「熱中症が起こらないことは不可能。なるべく症状の軽減を図っている」と回答したという。

 石側弁護士は「それ自体がすごい話。畳に寝転がってみたが、熱が籠もっていて熱く、とても過ごせる環境ではない。推定無罪の収容者に、憲法で禁じられた身体刑を与えているに等しく、法律の拘禁の目的を超えている」と批判。弁護士会から、収容環境の改善を求める勧告などを行うとしている。【澤木政輝】」


ちょうどこの日,京都地裁の期日があり,京都の暑さを体感しました.
京都御所の蝉の声がすさまじく,まさに真夏という感じでした.

24日に名古屋刑務所で1人死亡していますので,緊急に対策が必要でしょう.
弁護士会の勧告ではどのような具体策が提案されるのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2018-07-28 09:41 | 人権