大学病院が,医師がその手術について未経験であることを説明しなかったとして提訴される(報道)
「滋賀医科大学附属病院で前立腺がんの特殊な放射線治療をめぐって、担当医師が未経験の治療だったにもかかわらず、医師から説明がなく精神的な苦痛を被ったとして患者ら4人が担当医師らを提訴しました。
訴えを起こしたのは、滋賀医科大学附属病院で前立腺がんの治療を受けていた男性患者ら4人です。訴状によりますと、患者らは2015年から泌尿器科に通院し、前立腺がんの「小線源治療」とよばれる特殊な放射線治療を受けることになっていました。
この病院では「小線源治療」専門の研究が行われていて、ベテランの特任教授が年間140件ほどの治療を行っています。しかし、今回担当したのは特任教授ではなく治療経験がない医師でしたが、患者らへの説明はなかったといいます。
「素人同然の未経験医師の練習台にされようとしていたのです。それを知って私は驚愕しました」(原告)
治療をめぐっては、特任教授が「治療経験のない医師では危険」だと学長に直訴し担当が変わりましたが、患者らは「熟練した医師に手術をしてほしいと考えるのは患者として当然の願いで、担当医師らは説明義務に違反し精神的苦痛を被った」として、あわせて440万円の損害賠償を求めています。病院側は「現時点では訴状を確認できていないのでコメントできない」としています。」
上記報道の件は私が担当したものではありません.
未経験医師が実際に手術を行って健康被害が発生したわけではありませんので,医療行為自体の過誤にはあたりません.
医師の説明義務は,最判平13・11・27(民集55巻6号1154頁),最判平14・ 9 ・24(集民207号175頁), 最判平17・9・8(集民217号681頁), 最判平18・10・27(集民221号705頁)等で認められています.
厚生労働省医政局長通知 「診療情報の提供等に関する指針」は,次のとおりです.
「医療従事者は、原則として、診療中の患者に対して、次に掲げる事項等について丁寧に説明しなければならない。
(1) 現在の症状及び診断病名
(2) 予後
(3) 処置及び治療の方針
(4) 処方する薬剤について、薬剤名、服用方法、効能及び特に注意を要する副作用
(5) 代替的治療法がある場合には、その内容及び利害得失(患者が負担すべき費用が大きく異なる場合には、それぞれの場合の費用を含む。)
(6) 手術や侵襲的な検査を行う場合には、その概要(執刀者及び助手の氏名を含む。)、危険性、実施しない場合の危険性及び合併症の有無
(7) 治療目的以外に、臨床試験や研究などの他の目的も有する場合には、その旨及び目的の内容」
担当医師がその手術に未経験であることを説明する義務があるか否か,裁判所の判断に注目したいと思います.
谷直樹
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