弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

北九州市立病院、放射線医師の画像診断報告書を糖尿病内科が読まず、肺がんの治療が約11ヶ月遅れ亡くなった事案、2000万円で示談(報道)

毎日新聞北九州・市立病院 精密検査の確認怠り、肺がんで死亡(2018年8月30日)は、次のとおり報じました.

「北九州市は30日、市立医療センター(小倉北区)の医師が2015年、60代の男性患者のコンピューター断層撮影(CT)の画像診断報告書を確認せずに肺がんを見落とし、約1年半後に患者が死亡していたことを明らかにした。医師はその後、退職した。市は治療の遅れによる死亡の可能性を認め、遺族に示談金2000万円を支払う。

 市によると、患者の男性は15年4月に糖尿病治療のため糖尿病内科を受診し、胸のエックス線検査で右肺に腫瘤(しゅりゅう)の影らしきものが見つかった。さらにCT検査でも右肺に腫瘤の影が認められたため、放射線医師がさらなる精密検査を求める画像診断報告書を電子カルテ上に作成したが、糖尿病内科の50代の男性医師は確認を怠った。

 男性はその後も食事がとれない、足が上がらないなどの症状がみられ、16年3月に改めてCT検査をし、右肺に腫瘤の影が確認された。糖尿病内科の医師はその場で報告書の確認を怠ったことを認め患者に謝罪した。

 その後の精密検査で男性は肺がんと判明し、16年10月に死亡。遺族との示談交渉の結果、今年7月に和解に合意した。【下原知広】」


産経新聞「北九州市立病院が肺がん見落とし、1年半後に男性死亡」(2018年8月30日)は、次のとおり報じました.

「北九州市は30日、市立医療センター(同市小倉北区)の糖尿病内科の医師が平成27(2015)年5月、コンピューター断層撮影装置(CT)検査の画像診断報告書を確認せず60代男性の肺がんを見落とし、治療が遅れたと明らかにした。男性は検査から約1年半後に死亡。医師は「糖尿病の症状が回復し、肺がんの可能性にまで気が回らなかった」と説明、既に退職した。

 市によると、男性は27年4月に糖尿病内科を受診。胸部エックス線検査をした結果、右肺に腫瘤の影が写っていたため、CT検査をした。放射線医が「腫瘤が悪性か判断するための精密検査を求める」との趣旨の意見を付けた画像診断報告書を電子カルテ上に作成したが、50代の男性主治医は確認しなかった。

 患者はその後も病院に通ったが、食事が取れなかったりせきが出たりするなど体調を崩し、28年3月、同科が再びCT検査を実施し、改めて腫瘤の影を確認。その後の精密検査で他の臓器に転移したステージ4の肺がんであることが分かった。男性は同年10月に小細胞肺がんで死亡した。

市は「治療の遅れにより死亡した可能性も否定できない」との見解を示し、今年7月、2千万円の示談金を支払う和解内容で遺族側と合意した。

 病院側は再発防止策として、29年4月から電子カルテに未読の画像診断報告書を自動的に表示するシステムを導入した。」


報道の件は私が担当したものではありません.
以前,私が担当した事件でも,糖尿病の検査入院のために撮影した画像検査を見ずに肺癌治療が遅れ亡くなった事案(示談で終了)がありましたから,このようなケースは少なくないのでしょう.
上記報道の件は,2016年3月CT検査で右肺に腫瘤の影を確認して治療を行ったが2016年10月小細胞肺がんで死亡した事案ですから,もし2015年4月に精密検査を行い治療を開始していれば,結果はだいぶ違っていたでしょう.
朝日新聞によれば,主治医は「糖尿病が良くなっていて,報告書の確認を失念した」と説明しているとのことです.
この病院では2017年4月から電子カルテに未読の画像診断報告書を自動的に表示するシステムを導入したとのことですが,現在でもそのようなシステムを導入していない病院では同様の故が起こり得ます.

谷直樹

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by medical-law | 2018-08-31 06:41 | 医療事故・医療裁判