弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

遅発一過性徐脈と変動一過性徐脈の鑑別

分析対象事例86件において、遅発一過性徐脈を変動一過性徐脈と判読している事例が17件(19.8%)あったことから, 日本医療評価機構は,9月3日,リーフレット「遅発一過性徐脈と変動一過性徐脈の鑑別」をそのサイトに掲載しました.

胎児心拍数陣痛図を正しく判読するために以下の5点を心がけましょう,と呼びかけています.いずれも,きわめて基本的なことばかりです.。

1 【勉強会・講習会への参加】
すべての産科医療関係者は、胎児心拍数陣痛図の判読能力を高めるよう各施設における院内の勉強会や院外の講習会へ参加する。特に遅発一過性徐脈と変動一過性徐脈の鑑別、遅発一過性徐脈の判読、遅発一過性徐脈と早発一過性徐脈の鑑別、基線細変動減少・消失の判読について、正しく判読できるように習熟する。

2 【生理学的な意味を理解】
胎児心拍数の波形パターン出現の生理学的な意味を理解し、胎児心拍数陣痛図から胎児状態を推測することができるように習熟する。

3 【トランスデューサーの正しい装着】
各トランスデューサーを正しく装着し、正確に胎児心拍数と子宮収縮を計測・記録する。正確に計測・記録されない場合は、原因検索を行い、トランスデューサーの固定位置を確認し、再装着する

4 【紙送り速度は3cm/分に統一】
分娩監視装置の紙送り速度については、1cm/分または2cm/分で記録すると3cm/分で記録した場合に比し、基線細変動の評価や早発・遅発・変動一過性徐脈の鑑別が難しくなる。基線細変動の評価や一過性徐脈の鑑別に有利であるため、3cm/分に統一する。

5 【判読所見を診療録に記載】
胎児心拍数陣痛図の評価は、「産婦人科診療ガイドライン―産科編2017」に則して行い、評価の結果は正常・異常にかかわらず判読所見を診療録に記載する



谷直樹

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by medical-law | 2018-09-03 12:52 | 医療事故・医療裁判