宮崎地裁平成30年9月12日判決,帝王切開手術後左脚に腫れが見られ肺血栓塞栓症で死亡した事案で1億6000万円賠償を命じる(報道)
「宮崎市の産婦人科医院で平成24年、帝王切開手術で男児を出産した女性=当時(35)=が、容体が急変して死亡したのは、医療ミスが原因だとして、遺族らが計約1億6千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、宮崎地裁は12日、病院側に約1億3千万円の支払いを命じた。
判決で五十嵐章裕裁判長は、女性は術後、左脚に腫れの症状が確認され、医師は産科ガイドラインや文献から血栓症の可能性を認識できたと指摘。だが、必要な治療をせず、転院などの措置も怠ったとし、病院側の注意義務違反を認定した。
その上で、「高度な医療を受けられる医療機関に早期に転院していれば、女性を救命できた可能性が高かった」と判断して、死亡との因果関係も認めた。
判決によると、女性は24年4月11日、帝王切開で男児を出産。左脚付近の静脈に生じた血栓が合併症の肺血栓塞栓症を引き起こし、15日に死亡した。」
報道の件は,私が担当したものではありません.
帝王切開は,経膣分娩の22倍の肺血栓塞栓症のリスクがあります.
検査が充実してきた現在でも,妊産婦の状態を観察することは基本中の基本です.報道の件は,左脚に腫れの症状が確認されたとのことですので,深部静脈血栓を疑うべきです.ガイドライン,文献にしたがった対処を行えば救命できたケースでしょう.
妊産婦の状態を観察すること,産科ガイドラインを遵守することは,患者の安全のために必要なことです.
谷直樹
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