弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

熊本地裁平成30年10月17日判決、認知症の患者が車いすに乗って1人でトイレに行き転倒した事案で約2770万円の賠償

共同通信「病院に2770万賠償命令、熊本 入院中転倒で後遺症」(2018年10月17日)は,次のとおり報じました.
 
「熊本市で2013年、認知症で入院中に転倒し、全身まひの障害を負った熊本県菊陽町の男性(95)と親族が、病院を経営する医療法人佐藤会(同市)に約3890万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は17日、約2770万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は13年5月、認知症の投薬治療のため入院した際、車いすに乗って1人でトイレに行き転倒。頭を打ち、全身まひの障害が残り、寝たきりの状態となった。

 小野寺優子裁判長は判決理由で、男性は歩く際にふらつきが見られ、転倒する危険性は予測できたと指摘。その上で、「速やかに介助できるよう見守る義務を怠った」と述べた。」



報道の件は私が担当したものではありません.

裁判例には,多発性脳梗塞の治療のため入院していた高齢の患者が,看護師に付き添われトイレに行き,その後「大丈夫」と一人で病室に戻った際に病室内で転倒し,急性硬膜下血腫により死亡した事案で過失を認めたもの(東京高判平成15年9月29日,判時1843・69)などがあります.報道された裁判は,医療側に厳しいと受けとるかたもいるでしょうが,裁判例からすると,転倒が予見される患者のトイレ移動については付添ないし介助がないと注意義務違反が認められます.


谷直樹

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by medical-law | 2018-10-18 18:52 | 医療事故・医療裁判