弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

バランスボールで転倒した産婦が子宮破裂,大阪市東淀川区の産婦人科クリニックを提訴(報道)

朝日新聞「『バランスボール使わされ子宮破裂』大阪の産科医を提訴」(2018年10月24日)は,2次のとおり報じました.

「分娩(ぶんべん)中にバランスボールを突然使うよう指示されて転倒し、子宮が破裂して生まれた男児もその後死亡したなどとして、山梨県の30代の夫婦が大阪市東淀川区の産婦人科クリニックと担当医を相手取り、約9千万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。24日に第1回口頭弁論があり、クリニック側は争う姿勢を示した。

 バランスボールは、トレーニングに用いる軟らかい大きなボール。産科医療関係者によると、一部の産科や助産院では、陣痛緩和のため用いるという。

 訴状によると、妻は大阪府内に住んでいた2013年6月、破水して入院した。ベッドに置かれたバランスボールに上半身を覆いかぶせるように乗せたが、片方の腕に点滴がつながれていたうえ陣痛もあり、バランスを崩して転倒。担当医が急きょ帝王切開すると子宮が破裂していた。男児は仮死状態で生まれて脳性まひが残り、1歳7カ月で死亡した。

 夫婦は子宮破裂は転倒が原因とし、「触ったこともないバランスボールを使うよう突然指示され、介助の看護師もいなかった」と主張。手術でガーゼを体内に置き忘れ、翌日に除去するため再手術を受けるなどの医療ミスや子宮破裂のショック、男児の介護疲れで夫婦が精神疾患にかかるなど精神的苦痛を受けたと訴え、逸失利益や慰謝料を求めている。

 医療事故の分析にあたる第三者機関「日本医療機能評価機構」の報告書は今回の件について、「子宮破裂の原因は転倒による衝撃の可能性もあるが、断定は困難」とした上で、「バランスボールを使う場合、使用方法を十分に説明し、安全に十分に配慮することが望まれる」と指摘している。

 夫は取材に、「なぜ子どもが亡くなったのか、本当のことを知りたい」。被告側の代理人弁護士は「現時点ではコメントは差し控えたい」としている。(畑宗太郎)」


報道の件は私が担当したものではありません.
過失は明らかでしょう.
問題は因果関係でしょう.
因果関係は,裁判では,断定できなくても,真実の高度な蓋然性で足ります.
「元来訴訟上の証明は、自然科学者の用いるような実験に基くいわゆる論理的証明ではなくして、いわゆる歴史的証明である。論理的証明は「真実」そのものを目標とするに反し、歴史的証明は「真実の高度な蓋然性」をもつて満足する。言いかえれば、通常人なら誰でも疑を差挾まない程度に真実らしいとの確信を得ることで証明ができたとするものである。」(最判昭23・8・5刑集2巻9号1123頁)とされています.
つまり,転倒と子宮破裂との関係は,自然科学的に断定できなくても,通常人なら誰でも疑を差挾まない程度に真実らしいとの確信を得られれば,認定できます.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!

  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

by medical-law | 2018-10-25 06:52 | 医療事故・医療裁判