埼玉県の高校強歩死亡事件請求棄却(報道)
「14日の判決で、さいたま地方裁判所の石垣陽介裁判長は「生徒が倒れたあとAEDの手配が遅れ、到着までにおよそ20分かかった。学校はAEDを事故現場に運ぶ方法やルートなどについて事前に具体的な検討をしておらず救護体制の構築に不十分な点があった」と指摘しました。
その一方で、「教員が心臓マッサージなどを続けても呼吸は回復せず、AEDが迅速に運ばれていても命を救えた可能性が高いとまでは言えず、過失と死亡との因果関係を認めるのは難しい」として原告の訴えを退けました。」
報道の件は私が担当したものではありません.
このような院外での心肺停止の場合,心臓マッサージを行うことで16.1%の人を救命でき,さらに迅速にAEDを行うことで54.0%の人を救命することができます.心臓マッサージで呼吸が回復しなくても,AEDが迅速に行われていれば救命できた可能性はあります.つまり,27.9%の患者が心臓マッサージに加えてAEDを行うことで救命されるのです.
医療過誤事件では,判例上,相当程度の可能性の考え方が定着しています.
27.9%の可能性があれば,救命の高度の蓋然性までなくても,救命の相当程度の可能性があったとして,被告に賠償を命じることができたと思います.
また,本件は,雨天中止となるはずの強歩大会が小雨で決行された事案ですから,中止すべき注意義務が考えられます.
そもそも体力には個人差があり,体調も変動があるのに,事実上強制的に参加させられる強歩大会は問題ではないか,と思います.
谷直樹
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