弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

内頸静脈透析用カテーテルを座らせたまま抜き,空気塞栓による脳梗塞を起こし,障害を残した事案で約476万円の賠償(報道)

共同通信「透析の男性患者に障害 名古屋市が損害賠償へ」(2019年2月20日)は,次のとおり報じました.

「名古屋市は20日、市立東部医療センター(同市千種区)で昨年2月、市内に住む70代男性の静脈から透析用カテーテルを誤って座位のまま抜いたため、血管内に空気が入り、身体に障害を負わせたと発表した。和解に向け、損害賠償金約476万円を支払うための議案を開会中の市議会に提出する。

市によると、同センターはマニュアルで、静脈のカテーテルを抜く際はあおむけなどの姿勢で行うよう定めているが、施術した消化器内科の男性主治医(30)は知らなかったという。

男性は昨年1月、胆管炎による敗血症と診断され入院し、血液透析のため首の静脈にカテーテルを入れた。約1カ月後、男性は座った状態でカテーテルを抜かれ、身体の動きが遅くなるなどの障害を負った。

昨年10月に男性側が市に損害賠償の請求を申し入れた。」


報道の件は私が担当したものではありません.
マニュアルの周知徹底がなされなかったようです.
座位では,血液が重力により下方に移動し下半身の静脈圧が上昇し,上半身の静脈圧が低下します.そのため,座位では,カテーテルから流入する空気を引き込む力が増す危険があります.これは基本的な知識と思いますが.
「身体の動きが遅くなるなどの障害」とありだけで具体的な程度は分かりませんが,後遺症等級11級あたりを認めたのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2019-02-23 17:09 | 医療事故・医療裁判