山口地裁下関支部平成31年3月13日判決,再手術を行って血腫を取り除く義務の違反を認め4600万円支払い命じる(報道)
「宇部市の山口大学医学部附属病院で、腰の手術を受けた女性が、両足にまひなどの後遺症が残ったのは、医師が再手術を怠ったことが原因だなどとして、損害賠償を求めていた裁判で、山口地方裁判所下関支部は大学に4600万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。
下関市の75歳の女性は平成21年、宇部市にある山口大学医学部附属病院で腰の手術を受けたところ手術後にできた血腫が神経を圧迫し、痛みを訴えたものの医師が再手術を怠ったため、両足がまひするなどの後遺症が残ったとしておよそ6000万円の損害賠償を求める訴えを起こしていました。
これに対して病院側は再手術をすれば状態が悪化する可能性があり過失はなかったなどとして訴えを退けるよう主張していました。
判決で、山口地方裁判所下関支部の泉薫裁判長は「重大な後遺症が残るおそれがあることを考慮すると状態が悪化する可能性を理由に再手術を断念すべきでなかった」と指摘しました。
その上で、泉裁判長は「医師は再手術を行って血腫を取り除く義務が生じていたが、怠った」として4600万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。
判決について山口大学は「主張が認められず誠に遺憾で弁護士と協議して今後の方針を決めたい」と話しています。」
上記報道の裁判は私が担当したものではありません.
腰の手術に際し,麻酔関連の医療事故が起きることがあります.血腫によって神経が圧迫されている場合,そのままにしておくと不可逆的な神経損傷が生じます.血腫を認識しておきながら,手術を行わなかった事案では,過失,因果関係が認められる,という判決です.
再手術義務と因果関係を認めた点で参考になります.
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谷直樹
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