弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

近畿弁護士会連合会,「民事控訴審の審理に関する意見書」

『自由と正義2019年4月号』に「民事控訴審の審理の充実を求める-事後審的運用は見直されるべき-近弁連は意見書を発表」が掲載されていました.
2018年8月3日に発表された意見書です.

民事控訴審の審理に関する意見書」の要点は,以下のとおりです.

1  裁判所と当事者との間で争点と証拠の評価などについて意思疎通、コミュニケーションをはかり、これらの点について共通の認識を持つ努力をすべきである。
2 控訴審裁判所は、第1回期日において争点を再整理したり、民事訴訟法の定める裁判所の釈明権を適切に行使し、控訴審裁判所が着目する争点や立証などについて裁判所の認識内容を示唆したり、あるいは釈明を求めたりして、当事者双方の意見を聴取し、あるいは双方当事者の主張立証の整理を促すべきである。
3 控訴審裁判所は、証拠調べを実施するかについて十分な検討を行い、人証調べを含めた必要な証拠調べを適切に実施するべきである。
4 控訴審裁判所は、裁判官による記録の精読と十分な評議、裁判所と当事者間の十分なコミュニケーションと争点などについての認識の共有化ができていないときは、第1回期日に結審しないようにすべきである。

たしかに,地方裁判所の審理が不十分で,判決が間違っていることも時々あります.それは高等裁判所で是正していただかねばなりません.
私は,医療過誤控訴事件で1回結審となった記憶にありませんが,50日で証拠を用意し理由書を作成するのはとても困難です.
大阪高等裁判所での経験は1回しかありませんが,丁寧に審理していただき神戸地方裁判所の敗訴判決を覆し完全勝訴判決(最高裁で確定)をもらいました.
高等裁判所(控訴審)に求められる役割は大きいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2019-04-16 05:24 | 司法