CT画像の硬膜下血腫を見逃し2日に死亡した事案で病院が遺族に300万円支払い(報道)
「三田市民病院(兵庫県三田市けやき台3)で3年前、市内の男性(当時76)に対する診断ミスがあったとして、三田市は28日、遺族に300万円を支払うと発表した。6月4日に開会する市議会定例会に損害賠償の議案を提出する。
市によると、男性は2016年8月26日、午前と午後に自宅で転倒してそれぞれ同病院に救急搬送された。当時勤務していた脳神経外科の20代の男性医師が診察し、頭部コンピューター断層撮影(CT)検査の画像から2回とも「異常なし」と診断。男性は帰宅したが、翌日も自宅で倒れ、入院した別の病院で2日後に亡くなった。死因は急性硬膜下血腫だったという。
翌17年3月、遺族から画像診断のミスを指摘され、三田市民病院が調査したところ、2回目に撮影したCT画像に右硬膜下血腫があったと認められ、5月に遺族に謝罪した。同病院は、診断ミスが男性の死亡に直結したかどうかは不明としたが、過失は免れないと判断した。(山脇未菜美)」
上記報道の件は私が担当したものではありません.
具体的な部位,大きさは分かりませんが,一般に急性硬膜下血腫は急激に悪化し死亡する率が高いので,診断ミスと死亡との因果関係(急性硬膜下血腫を診断し手術適応があって手術していたら死亡しなかったという関係)がはっきりしないということで300万円という金額になったのでしょう.
法律では,過失があっても因果関係が立証できないと損害賠償は認められないのですが,それは社会の常識とは違います.そこで,裁判所は,相当程度の可能性,期待権侵害(最近はあまり使われませんが)などの構成で,若干の賠償を認めることがあります.できれば,裁判ではなく,このように示談で解決するのが望ましいと思います.
谷直樹
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