初期胃がんの手術の縫合不全で開腹手術,別の出血もあり死亡の事案で病院と医師が提訴される(報道)
「胃がん摘出手術で医療ミスが重なり沖縄県糸満市の60代男性が死亡したとして、遺族が30日までに、南部徳洲会病院や担当医師を相手に約8900万円の損害賠償を求める訴訟を那覇地裁に起こした。遺族側は主治医が「ほぼ100%成功する」と説明したにもかかわらず死亡したことなどから「明らかに医療行為に過失があった」と訴えている。同意書の存在や事実関係について同病院は「係争中のためコメントできない」と述べるにとどめた。
訴状によると、男性は2015年9月、同院で受けた特定健診で初期の胃がんが発見された。その後、手術の主治医となった同院の外科部長に「この手術は簡単な手術であるから、ほぼ100%成功する」と説明されたことから、手術を決意し同意書に署名した。外科部長が執刀医となることも確認したが、実際には大半を研修医が執刀した。
3日後には縫合不全が見つかり、男性の容体は悪化。再び開腹手術がなされたが、別の出血なども発症して手術から20日後に死亡したという。
遺族側は同意書を証拠提出したほか、調査を依頼した県外の医師も「複数の医療ミスが重なった結果」と指摘しているとして「医療過誤は明らか。病院側は患者一人が死亡した重大さを真摯(しんし)に受け止め、原告の声に耳を傾けてほしい」と訴えている。」
報道の件は私が担当したものではありません.
縫合不全は,一般に,手技上の過失と術後管理の過失が問題になります.
縫合不全の手技上の過失の立証について,高いハードルを課した裁判例もあります.
一般社会の常識では,複数の医療ミスがあった場合には責任が容易に認められると考えるのですが,裁判所では,複数の医療ミスが重なった結果については,過失と因果関係のあてはめの関係で難しい判断になることも多いです.
裁判の帰趨に注目したいと思います.
谷直樹
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