大学病院で発生したドレーン遺残事故
「【経緯】
患者様は、平成30年9月に腹部疾患のため本院に入院、手術を施行し、術後の経過も問題なく同月に退院なさいました。 その後本院外来において経過観察を行っておりましたが、令和元年 5 月、外来受診時にCT 検査を行った際に、体内に異物の遺残が疑われたため、手術動画及びレントゲンを見直したところ、ドレーンの遺残が判明いたしました。 検査結果を踏まえ、直ちに患者様及び患者様のご家族に対し、ドレーン遺残の事実及び術後のレントゲンでその所見を見逃していたこと、遺残しているドレーンの摘出手術の施行についてご説明し、謝罪いたしました。 同月ドレーンの摘出手術を行い、患者様は術後の経過良好で退院なさいました。
【原因】
開頭・開胸・開腹手術患者の場合、手術室内でレントゲン撮影し、異物遺残のないことを確認することとしておりますが、術直後及び外来でのレントゲンでも見逃されており、手術以外でもチェックが働いておりませんでした。
【再発防止策】
今回の事故を踏まえ、病院長の指示の元で策定した以下の再発防止策を講じます。
①手術中の確認の徹底
ドレーンを使用した際は、手術に参加している医師が他職種からの質問(1)(2)を受けて手術終了前に確認して返答する。
(1)長さ調節などのためにドレーンを切断したか。
(2)切断した場合は、切断端が体内に遺残していないか。
また取り出されたドレーン切断端の現物を他職種が目視することにより確認し、チェックリストに記載する。
②術後経過チェック機構の強化
手術終了時のレントゲンは手術チームに属する複数の医師で確認し、異物の有無を確認したことを電子カルテに記載する。
③ 医師への教育
「手術の遺残物」をテーマとして安全管理講習を開催し、医師に対して教育を行う。 」
上記の件は私が担当したものではありません.
医原性の遺残事故の発生,見逃しのダブルミスの事案です.
谷直樹
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