弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

船橋市立医療センターのアラーム消音医療過誤事件で和解へ

船橋市立医療センターは,本日,「船橋市立医療センター医療事故に係る公表について」をそのサイトに掲載しました.

「1.本件の概要

船橋市在住の患者A(男性・当時53歳)は不安定狭心症の診断で、心臓カテーテル検査を予定して、心電図モニターを装着して一般病棟に平成22年11月2日に入院していたところ、翌日の11月3日午前7時34分から36分頃、心室細動を発症し、病棟モニターのアラームが作動した。
しかしながら、アラーム音に対して、看護師又は医師が訪室することなく、アラーム音も消えていた。
同日午前8時頃、心肺停止の状態で発見され、同日午前8時48分死亡を確認した。
翌11月4日に船橋警察署に報告した。

2.損害賠償の額

和解金として遺族2名各々に対し7,500,000円を支払う。

3.経緯及び和解の理由

平成22年12月21日を第1回として院内外の委員による医療事故調査委員会を計4回開催し、平成23年4月11日に調査報告書が提出された。医療事故調査委員会では「アラームが鳴った時に、もし速やかに電気ショック、心臓マッサージなどの救命処置が適切に行われていたとしたら、救命の可能性があったことを否定はできない。しかしその可能性は低かったと推測される」と結論を出した。
平成25年10月29日に遺族側が千葉地方裁判所に提訴した。以後、平成31年4月23日までアラームによる訪室がなかった過失と死亡に因果関係があるとする遺族側と計33回の裁判が行われた。訴訟手続における鑑定手続による複数人の鑑定人医師の鑑定結果では、救命の可能性が低いという意見がなされた一方で、救命の可能性があったとの意見もなされた。
平成31年4月23日の第33回裁判にて裁判所より遺族2名に対して合計15,000,000円を支払う和解案が提示された。
和解案の内容について検討し、裁判所が提示した損害賠償額を支払うことを決定した。
市議会の可決を経て令和元年11月8日の第34回裁判にて和解する予定である。


4.再発防止策

○ 平成23年3月29日に「船橋市立医療センター生体情報モニターマニュアル」を制定。平成25年9月1日には全職員が携帯可能な小型サイズの「医療安全マニュアルダイジェストポケット版」を作成し、アラームが鳴った際に消さないで、直ちに患者のところに行き状態を確認し対応することを徹底した。また、複数のアラームが鳴った際の対処法についても規定した。
○ 事故発生年度以降、毎年度、全職員を対象に心電図モニター研修を実施している。さらに新規採用職員には、4月中に心電図モニターに関する講義形式の研修と実機操作形式の研修を実施している。
○ アラームが鳴った際に迅速に対応するため、看護師の人数の増員を図った。

5.丸山尚嗣院長コメント

今回の事案について、船橋市立医療センターとして重く受けとめており、当院でお亡くなりになりました患者様並びにご家族の方々に対し、心より深くお詫び申し上げます。
また、当センターといたしましては、二度と繰り返すことの無いよう再発防止に努めてまいりますとともに、今後、市民の皆様に安心して医療を提供できる病院を目指してまいります。」


この件は私が訴訟途中から受任した事件です.
鑑定結果も分かれる難しい事案で,長期間かかりました.
今後このような医療過誤が起きないようにしていただきたく思います.


谷直樹

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by medical-law | 2019-08-28 14:08 | 医療事故・医療裁判