弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

内閣法制局に出向中の厚労省職員が法案の条文を製薬会社役員に送った件で処分

時事通信「内閣法制局幹部、法案漏らす=製薬会社役員に、処分公表せず」(2019年9月3日)は次のとおり報じました.

「法案審査などを行う内閣法制局の幹部職員が公表前の臨床研究法案を製薬会社役員に漏らし、出向元の厚生労働省が2016年12月にこの職員を訓告処分にしていたことが3日、分かった。

 厚労省は公表基準に達しないと判断し、これまで処分を明らかにしていなかった。

 厚労省によると、この職員は旧厚生省採用で、現在は厚労省の研究機関に所属。法案を漏らした16年1月には内閣法制局に出向中で、職員は入手した法案の条文を製薬会社役員に送ったという。

 臨床研究法は、製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データ改ざん事件を受けて制定された。産学の癒着防止に向け、製薬会社に対して臨床研究を行う研究機関への資金提供の公開を義務付ける法律で、17年4月に成立した。

 またこの職員は、障害者総合支援法改正案についても公表前の16年2月、自治体や施設の職員に内容を漏らしていたという。いずれの漏えいでも金銭などの受け取りなどはなかったという。

 厚労省は「漏えいにより法案の趣旨などがゆがめられた事実はなく、総合的に勘案して訓告処分にした。基準に達していないので公表してこなかった」と話している。」 


国家公務員法第100条第1項は,「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」としています.法案の内容は「職務上知ることのできた秘密」にあたる可能性も考えられるのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2019-09-03 13:20 | コンプライアンス