大学病院,コンピュータ断層撮影(CT)の診断結果の確認不足による動脈瘤の適切な治療の機会を逸した医療事故公表
「横浜市立大学附属病院におけるコンピュータ断層撮影(CT)の診断結果の確認不足による動脈瘤の適切な治療の機会を逸した医療事故について」は概要について次のとおり述べています.
「公立大学法人横浜市立大学附属病院(674床、横浜市金沢区福浦3-9、病院長相原道子、以下「附属病院」という。)において、平成29年6月に実施したCT検査の診断結果が確認できておらず、動脈瘤の適切な治療の機会を逸した医療事故が発生しました。患者様は令和元年9月にご逝去されました。」
原因について,次のとおり述べています.
「平成29年6月に腎臓の形態確認を主な目的として撮影されたCT画像を、放射線診断医師が読影し、「両側内腸骨動脈瘤の増大」を指摘する報告書を作成しましたが、診断報告書を閲覧した腎臓・高血圧内科医師は、動脈瘤の記載を確認しておらず、破裂の予防につながる対応を取る機会を逸したことが原因と考えています。また当時は、画像診断結果の重要性を示すシステム上の機能や異常所見に対する適切な治療を確認するしくみがなく、組織としての確認体制が整っていませんでした。」
今回の対応と再発防止策について,次のとおり述べています.
「院内医療事故会議を9月中に計4回開催し、本案件について経緯の詳細な把握を行うとともに、同様の類似事例に関する調査について検討しました。
その結果、平成27年10月~平成30年9月の3年間を対象期間として、動脈瘤などの類似症例を抽出し、現在、該当する3,753件の画像診断報告書について、各診療科において対応状況の確認を進めています。(平成30年6月に公表したCT検査結果の共有不足による医療事故を受け、実施した画像診断報告書の調査では、悪性腫瘍などについて実施しており、動脈瘤などの血管病変はその調査対象にあたらなかったため発見できませんでした)。
また今後、外部委員を含めた医療事故調査委員会を設置し、原因究明や再発防止に必要な調査を行う予定です。
再発防止策としては、CT検査結果の共有不足による医療事故を教訓に、平成30年10月に画像診断報告書が未開封のまま放置されることを防止する【未読/既読管理システム】を導入しました。
また、一定の基準(主治医に的確に伝えるべき画像所見の分類:英国The Royal CollegeofRadiologists(RCR))に基づき、重要な異常所見については報告書に重要フラグを表示し、「重要フラグ」付き報告書に従って患者に適切な対応が行われたかを毎月確認し、さらに主治医に的確に伝えるための連絡体制を設けています。
現在はこれらの対策により、画像診断報告書に対する確認体制を徹底しておりますが、認識を新たにするため改めて周知徹底を図るとともに、引き続き再発防止に努めてまいります。」
報道の件は私が担当したものではありません.
せっかくCT検査を行って「両側内腸骨動脈瘤の増大」を指摘する報告書が作成されたのに,それが共有されなかったのは本当に残念です.
CT画像診断報告書を読まない主治医はどこの病院にもいるようです.
日本のすべての病院で検査結果を共有するためのルールを決め,ルールが守られるることを望みます.
谷直樹
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