弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

がん患者がリウマチ治療薬「ゼルヤンツ」(一般名トファシチニブ)に関する副作用の説明が不十分として製薬会社と病院を提訴(報道)

産経新聞 「薬の副作用、説明不足」 がん患者、製薬会社提訴」(2019年11月18日)は次のとおり報じました.

「リウマチ治療薬「ゼルヤンツ」(一般名トファシチニブ)に関する副作用の説明が不十分だったため、服用後に肺がんを発症したとして、岡山県浅口市の男性(65)と家族が18日、東京の製薬会社ファイザーと病院を運営する岡山県倉敷市の大原記念倉敷中央医療機構に、計約8千万円の損害賠償を求めて岡山地裁に提訴した。

 訴状によると男性は平成28年に関節リウマチと診断され、他の薬で治療を開始。30年1月、医師から「より効き目がいい」と言われ、ゼルヤンツに切り替えた。男性は今年に入り、ステージ4の肺がんと診断され、抗がん剤での治療を受けている。

 男性は医師からファイザーの作った患者向けの小冊子を渡されただけで医師による説明はなく、小冊子にも「服用中には悪性腫瘍に注意が必要」としか書かれていなかったと訴えている。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
ゼルヤンツは,もともと重篤な感染症と悪性腫瘍の副作用が懸念されていた薬剤で,このことはよく知られていますが,患者は説明を受けないと分からないでしょう.
添付文書の警告欄には次のとおり記載されています.

「本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
また、本剤投与により重篤な副作用が発現し、致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。」



谷直樹

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by medical-law | 2019-11-19 04:07 | 医療事故・医療裁判