弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

新潟県の病院の医師が患者への負担を懸念し精密検査不実施,がんが進行し患者死亡(報道)

朝日新聞「県立病院の医師、膵がん見落とす 疑いあったが検査せず」(2019年11月23日)は次のとおり報じました.

「潟県立○○病院は22日、精密検査などの適切な措置をしなかったため、男性患者の膵(すい)がん発見が10カ月遅れるミスがあったと発表した。がん発見時に症状はステージ4まで進んでおり、男性患者は今年10月に死亡した。22日に記者会見した○○院長は、患者の家族に謝罪したことを明かし、「遺族に誠意を持って補償する」と述べた。

 同病院によると、診療にミスがあった患者は新潟市の50代男性。心不全の治療で昨年3月に来院した際、他の病院からの紹介状に膵腫瘍(しゅよう)・膵炎の疑いを指摘する記述があったにもかかわらず、新発田病院の主治医は患者への負担を懸念し、精密検査をしなかった。

 また、昨年4月に主治医が交代した際、後任の医師がこの男性患者の負担になる精密検査はできないと誤認し、必要な検査をしなかった。

 今年1月、男性が腹痛を訴えて同病院の外来を受診したことで、ミスがあったことが発覚。病院はこの際、患者の家族に謝罪したという。塚田院長は「医師への丁寧な指導や相談態勢ができていなかった」と述べた。(飯塚大和)」


読売新聞「膵臓がん疑いの患者、医師異動や引き継ぎ不徹底で精密検査遅れ死亡」(2019年11月22日)は次のとおり報じました.

「新潟県立新発田病院は22日、膵臓がんの疑いがあった新潟市の50歳代男性について、医師の異動に伴う引き継ぎの不徹底などで精密検査の実施が遅れ、男性が今年10月に膵臓がんで死亡したと発表した。

 発表によると、男性は2018年3月、心不全の治療のため、他の病院からの紹介で新発田病院に入院し、その後、外来診療を受けていた。紹介状には「膵腫瘍・膵炎の疑いで精密検査が必要」と書かれていたが、同年4月に異動で主治医になった若手医師への引き継ぎが不十分で、専門診療科への相談も行われず、精密検査が実施されなかった。

 今年1月、先輩医師が気づいて検査し、膵臓がんが判明。同病院は「速やかに治療を始めていれば、がんの進行をある程度抑えられた可能性がある」としている。」



報道の件は,私が担当したものではありません.
検査を実施すべきか否かについては,検査実施の利益と不利益(リスク)を比較検討する必要があります.その判断を誤った場合,医療ミスとなり得ます.
膵がんの検査は,画像検査と病理検査です.
超音波検査,造影CT撮影,造影MRI(MRCP)撮影は,膵臓がんの疑いがある患者に,負担が大きいから実施しないというものではありません.内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)で組織を採取し病理検査を行うのは,或る程度侵襲性を伴いますが,膵がんの疑いがある以上実施するのが通常でしょう.なお,ERCPについては熟練した医師が行う必要があります.
膵がんといえども,医療ミスにより発見治療が10か月遅れたことは損害があると考えられるでしょう.



谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

by medical-law | 2019-11-23 09:46 | 医療事故・医療裁判