弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

黒部市の病院のがん患者死亡裁判(報道)

NHK「患者死亡の損賠訴訟始まる」(2019年11月27日)は,次のとおり報じました.

「○○病院でがんの治療を受けていた男性が死亡したのは看護師が投薬量を誤ったためだなどとして、遺族が市に賠償を求めている裁判が始まり、黒部市は争う姿勢を示しました。

訴えを起こしたのは○○病院でがん治療をうけていて去年、死亡した当時67歳の男性の遺族です。
訴えによりますと、男性は平成23年から○○病院でがんの治療を受けていて、去年、症状が悪化したため、病院に入院しました。
その際、看護師が薬の量を誤ったうえ、人工呼吸もしなかったために死亡したとして、市に約1100万円の賠償を求めています。
裁判は27日から富山地方裁判所で始まり、○○市は訴えを退けるよう求める答弁書を提出し、争う姿勢を示しました。
○○市の代理人を務める弁護士は27日、法廷に出てきませんでしたが、○○市は取材に対し「原告側が言うような医療ミスはなかった」という趣旨の答弁書を提出したということです。」


報道の件は私が担当したものではありません.
看護師が薬の量を誤ったうえ、人工呼吸もしなかったために死亡したという事実があるか否か争点のようです.

サンデー毎日2019年11月17日号の「シリーズがん楽死 第1回/がんの痛みを解消する処方箋」に,「確かに「緩和ケア(在宅緩和ケアも含めて)」や「看取(みと)り」などの言葉は広く知られるようになった。しかし、緩和ケアが標準がん治療の尽きた最末期患者の「送り込み先」として利用されていたり、結果としての看取りだけが独り歩きして「その人らしく生きるための支援」が抜け落ちていたりと、緩和医療の現場にはお寒い現実も少なからず横たわっている。」と指摘しています.
上記報道の件がどのような場合なのかは分かりませんが,一般に,標準がん治療の尽きた最末期患者の医療とその決定については,医療過誤にあたるか否かとは別に,患者の権利の視点から考えねばならない大きな問題があるのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2019-11-27 21:15 | 医療事故・医療裁判