弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

東京高裁令和元年12月5日判決,帝王切開後の移動にストレッチャーを使う注意義務違反を認め原判決を破棄し,8300万円余りの支払いを命じる(報道)

NHK「○○市立病院の医療過誤認め市側に賠償命令 東京高裁」(2019年12月5日)は次のとおり報じました.

「静岡県の○○市立病院で帝王切開の手術のあと、肺に血栓が詰まり、死亡した女性の遺族が市に賠償を求めていた裁判で、東京高等裁判所は病院の責任を認めなかった1審とは逆に、市側に8300万円余りの賠償を命じました。

平成21年に○○市立病院で出産した県内の当時35歳の女性は帝王切開の手術のあと肺に血栓が詰まって重い後遺症が残り、ことし5月に亡くなりました。

女性の遺族は手術の前後の医師の処置に誤りがあったとして、市に賠償を求める訴えを起こしましたが、静岡地方裁判所沼津支部は去年3月、訴えを退けていました。

2審の判決で東京高等裁判所の都築政則裁判長は「医師には血栓が肺に詰まることを防ぐため、病棟を移す際にはストレッチャーなどを使う注意義務があったのに、車いすで移動させていた。医師の過失と女性の死亡には因果関係が認められる」などとして、市側に8300万円余りの賠償を命じました。

判決について女性の母親は「娘の無念を晴らすことができて本当によかったです。墓前に報告したいです」と話しています。

沼津市立病院の卜部憲和病院長は「判決内容を詳細に確認し、適切に対応してまいります」とコメントしています。」


上記報道の件は,私が担当したものではありません.
出産時の母体死亡・遷延性意識障害については,基本的には,医師が注意義務を尽くせば回避可能な事案が多いように思います.
報道の件は血栓塞栓症によるものですが,元々妊娠時は血液が固まいやすくなっています.血栓塞栓症を意識した対応が必要です.
ストレッチャーではなく車いすで移動させたこと(過失)と死亡との間に因果関係があるとした東京高裁の判断は参考になります.
ちなみに,都築政則裁判長も1審の裁判長も司法修習37期です.経験年数は同じですが,判断は分かれたことになります.


谷直樹

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by medical-law | 2019-12-05 23:13 | 医療事故・医療裁判