弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

帰宅後に急性大動脈解離で死亡した事案で,病院の検査義務違反を理由に提訴(報道)

<共同通信「検査不十分」と病院を提訴 救急搬送、帰宅後に死亡」(2019年12月5日)は,次のとおり報じました.
 
「2017年9月、胸の痛みを訴えて東京都大田区の○○病院に救急搬送された井上裕香子さん=当時(46)=が翌日に急性大動脈解離で死亡したのは、医師が十分な検査をせずに痛み止めを処方して帰宅させたためだとして、千葉県松戸市の両親が5日、病院を運営する法人に計約6700万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

 訴状によると、井上さんが激しい痛みを訴えたのに、コンピューター断層撮影(CT)やエコー検査をしなかった過失があると主張。

 ○○病院は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。」


上記報道の件は私が担当したものではありません.
救急の検査義務違反の裁判例には,例えば次のものがあります.

東京地判昭和58年12月21日判時1128号77頁
「レントゲン撮影により骨折の存在を発見できた場合はもちろん,これを発見できなかった場合であっても,第一回診察が受傷直後の,急性硬膜外血腫の発生を否定し難い段階において行われていた上に,交通事故による左右側頭部打撲の疑い,左側頭部外傷の存在という血腫発生を疑うべき徴候が認められたはずである以上,被告Aらとしては,原告Bを帰宅させるべきではないと判断すべきであったと言わなければならない。」

奈良地葛城支判昭和59年5月23日判タ541号214頁
「被告病院のA医師が被告に対し,クモ膜下出血の疑いを指摘し,被告自身もその可能性を十分認識していたのであるから,その際,被告としては,本件診療契約上の義務として,クモ膜下出血に対する早期手術の必要性から,直ちに,クモ膜下出血の有無を確定的に診断するため,あらかじめ,頭蓋内圧亢進の程度を検査するなどしたうえ,右確定診断の有効な一方法である腰椎穿刺による検査の可能性につき遂一判断し,またはBが検査時に静止しうるころを見計って再度CTスキャンによる検査をするなどの措置を採り,あるいはこれができないときは,右の確定的診断をすることのできる脳外科の専門医がおり,かつその設備を備えている病院(中略)に同女を転院させるなどの措置をとるべきであった。」

神戸地判昭和63年12月14日判時1324号91頁
「病院受診の当初から,下痢,顕著な体重の減少(四か月に九キロ減),食欲不振を訴え,そして,その後に行われた上部消化管内視鏡検査,注腸X線透視検査で出血性胃炎が認められたほか,胃,大腸に著変なしとされたのであるから,亡Aが腹痛,背部痛を訴えなかったとしても,胆嚢,胆道,膵臓等の腹部臓器の異変を疑うのが当然であり,(中略)病院としては,少なくとも超音波検査を実施することができたし,また実施すべきであったということができる。」

大阪高判平成2年4月27日判時1391号147頁
「診断を誤った場合は,一般的医療水準から考えて右誤診に至ることが当然であるようなときを除き,債務の履行が不完全であったということができる。」
「A医師は,心筋梗塞等の心疾患を疑わず,単に肝臓疾患とのみ診断したのであるから,診断を誤ったことは明らかであり,急な発症,上腹部痛ないし同部の膨満感,全身の倦怠感,呼吸苦,吐き気など,心筋梗塞等の心疾患の存在を疑わしめる一方,想定しうる肝臓疾患では説明しきれない症状があったのに,右誤診に至ったということができ,債務の履行が不完全であったというべきである。」
「緊急医療における実際の鑑別診断に当たっては,比較的に可能性が小さくても優先的にその該当の有無が検討されなければならないことが認められる。」
「少なくとも,心筋梗塞等の心疾患の可能性を検討すべきであったし,さらに確度の高い診断をするのに必要な検査をすべきであった」

水戸地土浦支判平成5年11月30日判時1511号123頁
「乳児は,一般に呼吸機能に予備力がなく,成人に比して容易に急性呼吸不全に陥りやすく,また,その場合,心不全などの全身症状を起こしやすいこと,したがって,乳児が呼吸困難や喘鳴症状を呈した場合には,その症状の程度にもよるが,胸部X線撮影,血液検査,血液ガス分析等の検査を併用して病態を明らかにすると共に,①気道確保,酸素吸入,人工換気などの呼吸管理,②酸塩基平衡異常の是正措置,③呼吸不全の原因治療,④心不全等の多臓器障害の防止措置等の緊急治療措置を講ずる必要があることが認められる。」
「強い呼吸困難,喘鳴,声がれ,顔面蒼白,腹壁緊張減弱,皮膚光沢なし,胸部ラ音,下痢等の症状を認めて,喘息性気管支炎と判断し,入院ないし経過観察の必要があると判断し,呼吸困難改善のためスメルモンコーワを注射し,可能ならば入院等の措置のとれる他の医療機関に転送することも考慮した」
「医師は,第一回目の診察の時点において,前記のような聴打診,視診及び問診だけでなく,更に検査を尽くして病状の把握に努め,自院において,その症状に応じた治療措置を講じ,或いは転送先の病院において,同様の治療措置を受けさせるべき義務があったといわなければならない。」

静岡地沼津支判平成5年12月1日判時1510号144頁
「Aのように喉の痛みや嚥下困難があるうえに呼吸困難がある場合には,先ず第一に疑うべき疾患は咽頭上気道の疾患である。」
「被告には,Aが二回目に被告病院を受診した際,Aのような呼吸困難を訴える救急患者を診察するに際し当然に要求される,呼吸,脈拍,血圧,意識状態やチアノーゼの有無等のバイタルサインの把握をなさず,したがってまた,これらのバイタルサインの把握を通じ患者の重症度判断や緊急度の判定をなすべきであったのにこれを怠った注意義務違反が存したといわざるを得ない。」

静岡地沼津支判平成6年11月16日判時1534号89頁
「被告は,亡Aを受け入れ,救急入院させる際に,亡Aの意識状態が不穏であることを知っていたのであるから,意識状態不穏の救急患者を受け入れる救急病院の医師として,当然に,亡Aの全身状態を十分に観察し,CT検査,頭部胸部単純X線検査による頭蓋内疾患や外科的検査と同時に,血液検査,尿検査をして,体液の成分バランスなど内科的な検討から,各臓器障害の有無程度など病態の把握に努め,また,亡Aに付き添って来た学園の校医や教師から,亡Aが意識障害を起こした状況や,発見後の亡Aの容態,その後の処置を詳しく聞くべきであったと考えられる。そして,意識状態や血圧,体温(直腸温),呼吸状態,時間的尿量などを頻繁に経過観察すべきであった。そして,CT検査により頭蓋内疾患を除外できたのであるから,更に代謝性疾患を疑うべきであったこと,意識状態の不穏の程度はかなり重く,その状態は長時間継続したこと(中略)意識障害が発生した経緯(中略)から激しい発刊と体温の上昇,そして脱水状態が予想されたこと,発見時の亡Aの顔面は紅潮していたこと,転倒時の傷害部位・程度(無防備のまま前のめりに倒れたような傷害状況)から転倒前に意識障害のあったことが推測されること,体温は,三〇日午後六時には三九度近くあり,座薬投与後の六時三〇分においては四〇度になっていること,冷却措置や解熱剤投与後も高体温(冷却中の体表温度で三八度以上)が継続したこと,三一日から血圧の低下がみられたこと(中略)そして三一日午前三時頃から尿が殆ど出なくなったこと,三一日午前六時には著しい低血糖状態に陥っていたことなど,以上の諸点に鑑みると,被告が救急医療においてなすべき前記一,3,(一),(二)記載のような措置を行えば,三〇日午後六時三〇分の時点で熱射病を疑診することが可能であったし,少なくとも代謝性疾患を疑うべきであったと考えられ,遅くても三一日午前六時までには,熱射病を疑診することが十分に可能であったと考えられる。」

大阪高判平成8年9月26日判タ940号237頁
「交通事故における救急医療の場において,事故直後の対応に際して,最も基本ともいうべきレントゲン撮影等を怠る過失があり,これらを怠らなければ,(中略)次の措置も期待できる状況にあり,しかも,救命の可能性が全く否定できないものとすれば,前記認定のとおり,レントゲン撮影等を怠った過失と亡Aの死亡との間に相当因果関係を認めるのが相当であり,前記一般的な場合と同様に解することは許されないものというべきである。」

東京地判平成18年7月13日医療判例解説6号33頁,ウェストロージャパン
「高齢者が大腿骨頚部及び骨盤の各骨折を生ずるような強さないし態様で自宅の外階段で転倒したという事実関係の下では,一般的には,その転倒の際に頭部をも打った可能性があるといえる。」
「特に高齢者が頭部に衝撃を受けた(頭部外傷が生じた)場合,頭蓋内血腫(硬膜下血腫等)等を生じやすく,頭蓋内血腫が生じてこれが増大すると死をもたらす危険があることから,これをできる限り早期に発見して,速やかに緊急開頭術により血腫を除去する必要があるといえる。」
「外傷性頭蓋内血腫については,受傷当時意識が明瞭でありながら(意識清明期),30分ないし数時間経ってから次第に意識障害が現れ,進行性に増悪することがあり,特に高齢者の場合,脳の萎縮のために血腫や脳浮腫が高度になるまで意識障害等の症状が現れないことがある」
「G医師は,Eにつき,本件当初診察時において,外傷性健忘のことも念頭に置いて,本件転倒事故の経過,態様等(本件階段の形状,転倒ないし転落の経過及びその原因等)を具体的に質問するなどした上,外傷性健忘が疑われるなどして頭部外傷の疑いが残る場合には,その有無を確認するために頭部のレントゲン検査ないしCT検査を行うべき診療上の注意義務を負っていたといえる。」

横浜地判平成21年10月14日判時2069号98頁,医療判例解説27号66頁
「「小児の腹部は「ブラックボックス」であり,常に急変することを念頭に,重要疾患を見逃さず初期評価を繰り返し再検討することが必要である。」との指摘にもみられるように,確定診断後の経過において,確定診断に従った治療をしているにもかかわらず患者の症状が増悪したり,従前見られなかった症状が加わったりするなど,確定診断を下した際の症状の一般的推移と異なる経過が現れた場合には,それが確定診断と積極的に矛盾するものとまではいえなくとも,確定診断にこだわることなく,診察や検査を行って確定診断を再検討する必要があるというべきである。(中略)本件においては上記1(1)コのとおり,腹部超音波検査では腸管ガスにより壁の性状把握が困難な部位があったことが認められ,必ずしも十分な情報が得られていたとはいえないこと,胃腸炎とイレウスとの鑑別は困難であり,対症療法により経過観察しても症状が改善しない場合は,画像診断を含めた対応が必要であるとされていることからすれば,太郎については,従前と異なる症状が見られた場合や症状が改善しないと考えられる場合に,初期評価,すなわち急性胃腸炎であるとの確定診断を見直す必要性は高かったものといえる。」
「特に、「痛いよー、痛いよー」と訴えてうずくまる,あるいは痛み止めを希望するほどの間欠的な腹痛が遷延していたことと,腹部膨満が見られるに至ったこと,排便がないことは,イレウスを疑わせる所見ということができる。」
「被告病院医師らは,午後5時20分ころの時点で,イレウスを疑い,太郎に対し,腹部レントゲン検査,CT検査及び腹部超音波検査を実施すべき注意義務があったということができる。」

東京地判平成21年10月29日判タ1335号175頁,裁判所ホームページ
「梅子は,一貫して下腹部痛を訴えていたこと,戊田医師は,当初の搬送時に,梅子から3日間便が出ていないと聞いていたこと,入院後の梅子には腹部膨満が見られ,下腹部に軽度の圧痛も見られたこと,入院時の血液検査及び血液ガス検査の結果(中略)では,白血球数が21200/mm3と顕著に上昇し,pHが6.831,HCO3-濃度が6.0mEq/l,BEが-28mEq/lであり,代謝性アシドーシスの状態にあったこと,腹部エコー検査によれば腹水が見られたことなどの事情が認められる。これらの事情は,前述の医学的知見からすれば,いずれも絞扼性イレウスを疑わせるに十分なものというべきであり,加えて,被告は,午前11時55分には,梅子を自ら診察し,梅子から強い下腹部痛の訴えを聞いているのである。そして,絞扼性イレウスでは急速に症状が悪化し,閉塞が解除されなければ生命の危険を生じる状態となるため,試験開腹を含めた早急な外科手術を施す必要があること」
「高齢者においては,生体防御反応が低下していることなどから,手術時期を逸することのないように注意すべきであるとの指摘があること,本件において,梅子は,午前9時50分ころ,既にショック状態に陥っており,梅子について上記のとおり絞扼性イレウスの疑いがあることを前提とすれば,時の経過に連れ,鑑別に基づく手術の要否についての判断がより緊急性を増している状況にあったことなどにも照らせば,被告は,遅くとも午前11時55分ころの時点において,梅子が絞扼性イレウスにり患していることを疑い,その鑑別をするために腹部エコー検査や造影CT検査などの必要な検査を実施すべき義務があったものというべきであり,これを行っていない被告には注意義務違反があるといわざるを得ない。」

前橋地判平成22年4月30日判時2083号122頁
「Aは,四月九日の外来診療の時点で,左肩痛を訴え,太郎の左頸部,鎖骨周辺には腫脹があり,鎖骨の骨折が疑われ,同日午後三時四〇分ころ撮影された太郎のレントゲン写真には,太郎の鎖骨が骨折し,第三骨片が生じている様子が映し出されるとともに,太郎の気管が左から右へ,少なくとも一cm以上偏位している様子が映し出され,同日午後四時五八分ころに行われた太郎の胸部CT検査の画像には,太郎の首の左側に大きな(数百グラム以上の)血腫があり,この血腫によって,気管が左から右へと圧迫され,大きく偏位している様子が映し出されていたのであるから,戊田医師は,太郎を診察した際,太郎が持続的な出血により出血性ショックに陥る可能性や,血腫が気管を圧迫することにより太郎が呼吸困難に陥る可能性を予見できたし,予見すべきであった」
「戊田医師は,太郎が出血性ショックに陥る可能性や,血腫が気管を圧迫することにより太郎が呼吸困難に陥る可能性を予見できたのであるから,これらを防ぐために,自ら,あるいは看護師をして,血液成分・尿量・動脈ガス分析による呼吸機能などの基本となる検査を行い,それらの変化,生命徴候の変化,訴えや局所症状の変化について,継続的に経過観察を行うとともに,呼吸状態が悪化した場合には直ちに挿管等ができるように用意するなど,危険を回避する措置を適切に採ることがきるようにしておくべきであり,現に危険が生じた場合には,危険を回避する適切な措置を採らなければならない注意義務があったということができる。」

広島高判平成30年2月16日医療判例解説77号42頁
「上記①の動脈瘤は大きくて破裂しやすい状態であったこと,上記②の腰背部痛はその発症様式及び性状からすると内臓に由来するものである可能性が相当に高いこと,上記③の低血圧は出血が生じたことを原因とするものであること,上記④の嘔吐は腹部大動脈瘤の破裂の症例において観察されることがあること,そして,上記⑤のとおり亡太郎の死因が腹部大動脈瘤破裂(クローズド・ラプチャー)であったことからすると,亡太郎において,腰背部痛を訴えた時点から被控訴人病院に到着した時点までのいずれかの時点において,上記①の腹部大動脈瘤が破裂したと認めるのが合理的である。」
「A医師は、本件診察において、腰痛を来す疾患として、緊急性の高い疾患と筋骨格系に由来する疾患とを鑑別するにつき、その発症様式、性状、程度及び随伴症状を問診し、急性の安静時痛があるとの症状及び血圧低下等の随伴症状を聴取した上で、緊急性の高い腹部大動脈瘤の破裂又は切迫破裂を疑い、CTを実施すべき義務があったというべきである。」


検査義務違反を否定した裁判例は,例えば次のものがあります.

大阪地判平成元年7月31日判タ716号185頁
「右早期手術が必要との見解によると,くも膜下出血を起こした患者を発見した医師は,手術によって回復する可能性のある場合,出血後六時間ないし四八時間以内に手術を行うべきであるが,自らが手術できない場合には,発症後六時間以内には可及的に患者の安静を保って再出血を防ぎ,その後,病状の安定を待って,六時間以上四八時間以内に手術が行えるように,くも膜下出血に対する手術が可能な専門医のいる病院に右患者を転送する義務を負うものといえる。」
「くも膜下出血の場合は発症後四八時間以内であれば患者の症状と手術適応状態をみて適切な時期に検査手術を行うべきであって,そのために手術時期に時間的な遅れがあっても右時間内であれば手術の結果には大差がなく,本件においても,右検査診断後,手術適応期間内である発症の約四一時間後には現実に手術が行われたのであるから,右CT検査が原告主張のとおり約九時間遅れたとしても,それにより適切,迅速な手術の機会が奪われ,太郎を死亡させたものということはできない。」

名古屋地判平成3年3月4日判時1396号106号
「本例のように受傷後僅か約六時間で急激に右のような脳ヘルニアを来たすような劇症型の急性硬膜外出血の事例では,仮にAが最初に被告病院に来院した際に,頭部のレントゲン撮影及びCTスキャン検査が実施され,その結果,頭蓋内出血が発見されていたとしても,確実に救命しえたかは明らかでなく,脳神経外科に精通した医師と看護婦及び迅速に開頭術を行える病院体制があって初めて救命の可能性があったこと,仮に救命しえても植物状態程度の重度の神経障害を残す可能性を否定できないこと,以上の事実が認められる。右に照らせば,脳神経外科がなく,しかも当直医二名しか待機していない深夜にAを受け入れざるを得なかった被告病院にこのような治療体制を期待することは不可能であり,また,速やかに右のような治療体制を有する病院に転送され手術が行われていたとしても,Aを確実にかつ何らの後遺障害も残さずに救命しえたかは甚だ疑問というほかない。」
「Aのように神経学的異常がない場合には,その原因が頭蓋内出血によるものか飲酒等の他の原因によるものか定めることは困難である。」
「脳神経外科医でない医師に対し,右のようなAの状態に照らして,ぶつけられて飛ばされたらしいと聞いたことや不穏状態があることのみをもって頭蓋内出血を疑い,CTスキャン検査やレントゲン写真撮影をなすように求めることは困難である」

岡山地判平成21年1月20日判時2037号82頁
「亡花子は,被告病院救急外来搬入時,ショック状態であったが,かかる患者に対しては,救急救命措置として,まず,生命危機に直結する呼吸・循環系の安定化を図った上,これにより患者が安定した後にショック状態を引き起こした原因検索を行い,その原因に応じた治療を行うべきものとされていること,亡花子の搬入時の状態は循環動態の結果として説明がつき,このような患者に対しては,緊急性,有益性,簡便性から心電図検査を行うべきものであり,その検査の前に頭部CT検査を行う選択はないこと」
「ショック状態から完全には回復していなかったことや意識回復後も頭痛の訴えがなく,麻痺等の神経学的異常兆候がない状態にあったことからすれば,急性心筋梗塞による心不全が最も疑われ,その疑いがある以上,確定診断及び治療のため,できるだけ早く心臓カテーテル(冠動脈造影)検査を行って診断を確定し,かつ,急性心筋梗塞であれば,冠動脈を早期に灌流させようと考えるのも当然である」
「丁原医師らに冠動脈造影検査に先立って頭部CT検査をすべき義務があったということはできない」

□入院・帰宅に関する義務
入院させて経過観察・治療を行うる義務の違反を肯定した裁判例
・仙台地判昭和63年6月28日
・東京地判昭和58年12月21日
* 原因不明,急性,悪化の可能性は,義務肯定の方向に働く

帰宅に際しての療養指導義務の違反を肯定した裁判例
・大阪地判平成3年1月28日判タ平成3年1月28日
・東京高判平成21年2月3日
* 自宅での経過観察の必要性とその内容し,具体的にどのような症状が現れたら連絡し再来院することを説明する義務がある。



谷直樹

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by medical-law | 2019-12-10 15:25