弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

モルヒネを過剰投与された後に死亡し司法解剖の結果モルヒネの急性中毒が死因となった疑いがあるとされた事案で大阪府の病院が関係否定(報道)

共同通信「モルヒネ過剰、女性が死亡 大阪の病院、投与ミスか」(2019年12月11日)は次のとおり報じました.

「大阪府寝屋川市の○○病院で10月、末期の肺がんで入院していた女性患者(70)が痛み止めのモルヒネを過剰投与された後に死亡し、司法解剖の結果、モルヒネの急性中毒が死因となった疑いがあることが11日、捜査関係者らへの取材で分かった。寝屋川署は投与ミスの可能性もあるとみて業務上過失致死容疑で調べている。

 病院を運営する○○会(大阪市中央区)の担当者は取材に対し、過剰投与はあったとした上で「
患者は肺がんにより亡くなったと考えている」として、死亡との因果関係を否定している。」


報道の件は私が担当したものではありません.
因果関係(あれなければこれなしの関係)は仮定的な判断になるので難しいのですが,モルヒネを過剰投与された後に死亡し(時間的近接性),司法解剖の結果モルヒネの急性中毒が死因となった疑いがあるとされたとのことだけでは,モルヒネの過量投与と死亡との因果関係は否定も肯定もし難いのではないでしょうか.民事の損害賠償裁判では立証責任が原告(遺族)側に課せられていますので,因果関係を立証できないと生命侵害についての賠償請求は棄却されますが,過量投与は債務不履行ですので慰謝料請求権が認められる余地はあります.なお,過失と因果関係を認め1880万円の支払いを命じた裁判例があります(横浜地裁平成18年1月26日判決).

谷直樹

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by medical-law | 2019-12-12 06:59 | 医療事故・医療裁判