弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

クリニックが帝王切開時の全身麻酔の母体死亡で提訴される(報道)

福島テレビ「帝王切開で死亡したのは医療ミス 亡くなった女性の遺族が損害賠償を求める裁判」(2020年1月21日)は,次のとおり報じました.

「帝王切開で出産した女性が死亡したのは医療ミスが原因として、遺族が病院を運営する法人を相手取り損害賠償を求めた裁判の第一回口頭弁論が開かれた。

訴えによると当時36歳の女性は2019年1月。福島県○○市の○○クリニックで、全身麻酔をうけ帝王切開で出産したが、低酸素状態に陥りその後死亡した。

女性の遺族は全身麻酔後の速やかな気道確保を怠ったことが原因として病院を運営する法人に慰謝料などおよそ8200万円の損害賠償を求めている。

第1回口頭弁論は21日に福島地方裁判所で開かれ、被告の病院側は欠席した。

遺族の代理人によると病院側は請求の棄却を求め、全面的に争う姿勢を示したという。」


報道の件は私が担当したものではありません.
全身麻酔で帝王切開をうけた妊婦の死亡率は局所麻酔で帝王切開をうけた妊婦の16.7倍という報告がひろく知られています.その後,1.7倍という報告があり,差は縮まっているようですが,やはり妊婦の全身麻酔には危険性がありますので,適応は厳格に判断される必要があります.帝王切開のための全身麻酔をそもそも当該クリニックで行ってよいのか,という論点があると思います.
帝王切開時の全身麻酔には常に挿管困難のリスクがあります.
事前にリスクの程度を評価すること,挿管困難となったときに備えること,気道確保を確認してから手術を行うこと,再挿管は困難なので抜管は慎重に行うこと等が重要になります.
報道の件はどのような事案だったのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2020-01-22 18:05 | 医療事故・医療裁判