弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

東京地裁令和2年1月30日判決,医師は緊急性に対する認識が希薄で早く搬送していれば救命し得たと認定し,1億2千万の支払いを命じる(報道)

読売新聞「帝王切開で母死亡 賠償命令…地裁判決 クリニック側に1.2億円」(2012年1月31日)は,次のとおり捧持した.

「東京都○○区の「○○クリニック」で2015年、帝王切開手術を受けた女性(当時35歳)が死亡したのは医師が適切な対応を怠ったためだとして、夫らが同クリニック側に計約1億6900万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(伊藤正晴裁判長)は30日、計約1億2300万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、女性は15年1月、同クリニックで緊急手術を受けて長女を出産したが、術後に子宮から大量出血。大学病院に救急搬送されたが、出産の約14時間後に死亡した。

 判決は「医師は緊急性に対する認識が希薄で、早く大学病院に搬送していれば救命し得た」と指摘した。

 判決後に記者会見した夫は、「子を授かった直後に生涯を終えた妻は無念だっただろう。同じ苦しみを味わう人を出さないためにも、意義ある判決だ」と語った。同クリニック側は「コメントは差し控える」としている。」



産経新聞「帝王切開術後に死亡 クリニック側に1億円超賠償命令」(2020年1月30日)は次のとおり報じました.

「妊婦が帝王切開の手術後に死亡したのは医師の注意義務違反が原因だとして、遺族が産婦人科クリニックを運営する医療法人社団○○会側に計約1億6千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。伊藤正晴裁判長は「医師が注意義務を尽くしていれば救命し得た」として法人側に約1億2千万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は平成27年1月にクリニックで緊急帝王切開手術を受けて女児を出産。術後から出血が続いたため、医師は約6時間半後に大学病院に搬送を決めたが、女性は搬送後、間もなく死亡した。

 伊藤裁判長は、医師は遅くとも術後約5時間半の時点で、学会の指針で即時の輸血や高次医療施設への搬送が求められている「産科危機的出血」に女性が陥ったと判断し、大学病院に転送する義務があったと指摘。1時間早く大学病院で治療を始めれば「致死率は相当程度低くなった」と認定した。

 女性の夫(40)は「非常にずさんな医療をされ、訴訟でも開き直りともとれる対応をされた。苦しみを負う遺族が増えないためにも意義のある判決を出していただけた」と話した。○○会は「判決文が届いておらず、コメントは差し控える」としている。」


報道の件は私が担当したものではありません.
産科における母体死亡は,常位胎盤早期剥離,帝王切開後などの出血死の大半は適時の搬送により回避可能のように思います.
この判決は同種事件の参考になると思います.

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/293/089293_hanrei.pdf

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

by medical-law | 2020-02-01 16:28 | 医療事故・医療裁判